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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

国家戦略特区諮問会議・民間議員の独善的暴論

アベ総理が窮地に追い込まれて、遂には「全国どこでも自由に大学」宣言を出すに至ったらしい。加計学園だ、1校だ、と文言などを責め立てられたので、じゃあ限定はしないことにするから、と。そうすれば、特区諮問会議や安倍総理の責任逃れができるとでも思っているのかね。


安倍政権が直ぐに前言をひっくり返す、という傾向があることは、前にも指摘しておいた。

5月21日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8b4f7b08c1247ac54f22b08e1fe13b71

(再掲)

安倍政権は、過去との分断を掲げる政府であり、「全部ひっくり返す、なかったことにしたい」という態度・考えがうかがわれ、憲法議論においても、何の断りもなく「これまでの政府見解は覆すことにする」と宣言して終わる、みたいなものである。


そういう点からすると、革命的政権である、ということなのかもしれない。昨日言ったことも覆す、そういうタイプなのである。どこにも、まともな理屈もなけりゃ、説明もない。繰り返すのは、「何ら問題ない」という答弁だけである。
これを暴走政権、それとも独裁的政権と呼んだとしても、不思議でも何でもない。



アベ総理だけじゃなく、特区諮問会議の誰一人、まともな説明なんぞ出来てはいないでしょうに。まずは、その説明をしてからだろうね。

高橋洋一が矢鱈と高評価しているらしい、民間議員たちの緊急弁解記者会見の模様がアップされていたので、読んでみましたよ。
案の定、「石破4条件」を満たしていることの説明を誰もできなかったわけね。爆笑ものだね、特区諮問会議の面々は。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/170613youshi.pdf


発言内容については、後で述べるとして、大雑把な論点として、八田達夫高橋洋一なんかが言う、「そもそも規制している告示があるのが悪いんだ」論について、反論しておく。


文科省側から見た意見としては、既に拙ブログ記事で述べたので省略するが、基本的には「平成15年の小泉内閣時代、竹中平蔵が大臣でアベが幹事長だった時代に作られた、文部科学省告示第45号」があるから、である。また、平成17年中教審答申による中期計画に基づく政策決定であったものと思われる。


6月13日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/055d3bb2d8faae2403f24bc01220d7df


なので、文科省としては、告示が悪いんだと責められたとて、それは小泉内閣閣議決定が悪かったんだ、としか言いようがなく、じゃあ竹中平蔵は反対して閣議で異議をぶってみるとか、署名を拒否する(郵政民営化法案の際、島村農水大臣は署名を拒否して、大臣を更迭されたぜ?)ことくらいはできたでしょうに。

当時、竹中自身が、文科省告示第45号にのうのうと署名し認めておきながら、今は知りませんってのもどうかと思いますね。卑怯者のやり口である。
竹中らの「構造改革規制緩和派」が旗振り役で、大学の設置認可を大幅に緩和しろ、となったでしょう?それ故、大学院とかも増えたし、法科大学院も続々出来たし、何と言っても目玉は「株式会社立」大学の認可だったでしょう?

それまでは、学校法人とか限定的だったものが、株式会社にも大学を自由に作らせろ、そんな規制があるから悪いんだってことで法改正をやったはずですよね?
で、その規制緩和の恩恵は、どこにどのような効果をもたらしたのでしょうか?自由に設置できるようにすることが、本当に国民にとってプラスだったとでも?

潰れた大学だってあるんじゃないですかね?
ある意味、補助金泥棒みたいなもんじゃないですか?本当に、粗製濫造大学みたいなのが増える必要があったのでしょうか?
昨今では、無駄に増えすぎた大学を「統廃合するなり、特色出すなり、どうにか処分をつけろ」と求められたりしてませんでしたか?


誰でも自由に大学を設置できるようにすること、これは、本当に必要な政策だったのですか?
法科大学院や、株式会社立の大学の惨憺たる結果は、どう見ますかね?


まあ、当時には、そういう「誰でも自由に大学設置」っていう、規制緩和の攻勢が続いていたので、主に医療系が「抵抗勢力として」破壊的な大学新設自由化に歯止めをかけたい、ということで、厚生族(当時には既に厚労省になっていたけど、旧区分ということで)に働きかけて、かつては「審査の内規的条件」(閣議決定)だったものを、(審査基準の)明文化するという趨勢によって、「文科省告示」に格上げとなったのでしょうね、恐らくは。


何でも自由化の波が医学教育にも襲ってくるかも、そういう危惧が誠実な教育・医療界の人々にはあった、ということでしょう。拙ブログでは、インチキ大学をゴロゴロ作る風潮には反対であり、告示の中身を知ったのは実は加計学園問題以降だったが、必要なものだったと考える。規制なしでは、補助金詐欺みたいな、教育ビジネスが蔓延るのを防げないわ。臨床教育なんかも、そう簡単にできるとは到底思えないし。


「規制の文科省告示が悪い」論を言うなら、八田達夫はこれまで寝てたのか、という新たな問題が生じる。

それは国際医療福祉大学の医学部設置に関する問題だ。八田達夫は、特区民間議員として、その決定過程には存在してきたのだろう?ならば、どうして、当初から「文科省告示第45号を撤廃せよ」と主張しなかった?


医学部新設問題で「自由に作らせろ」と主張して、告示撤廃論を演説したら良かったでしょうに。何故、告示そのものの撤廃を言わないのだね?
で、加計学園問題が発覚して、批判に晒されたら「全部自由にしろと言ってきた」と。告示が悪いんだ、と。調子良すぎ。


前にも提示したが、医学部設置の場合には、文科省を交えた「3省合意文書」が作成されたわけ。獣医学部の場合にも、文科省は同様の手続きを踏むべきだと申し入れたが、拒否されたでしょ?そこがおかしいわけよ。


http://www.iuhw.ac.jp/about/medicine/pdf/2015.09.17a.pdf

国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針』と内閣府文科省厚労省と所管省が合意を交わしているのだよ。加計学園にも同じくやれば良かったでしょう?

出来ない理由、というのがあったんじゃありませんか?
それは、国際医療福祉大学医学部の場合には、講義のほぼ全部を英語でやるとか、海外医師招聘だけじゃなく、患者も日本人以外の外国人を想定しているとか、要するに海外医療機関と同等の施設を目指すといった、日本の「大学病院」という枠組みとは別の、特徴的な大学を作ったから、でしょう?


しかし、今治市加計学園の場合には、当初から四国の「地域の獣医師不足」を掲げてスタートしていたので、日本のどこにもない誰もやってない「獣医師養成」なんて、架空の夢物語的であって、具体的な構想なんて浮かばなかったのでしょうね。だから、文科省農水省を交えて交渉ってなったら、到底合意など得られそうもない、ということで、特区諮問会議で強引に突き進めばいいとなったわけだな。

そこそこ頭の回る人間であれば、全くのバカでもあるまいし、諮問会議に呼ばれる程度の脳味噌があれば、いちいち総理が力説せんでも「誰でもゴールは理解できる」はずですよ?(笑)


さて、告示撤廃論を言う人間ならば、医学部設置の前にその論議を詰めておくべきものだし、特区でどういう内閣府告示が出されたかというのは、知らないはずがないのですよ。


医学部設置の場合には、文科省告示第45号の規制にかからないようにする為の措置は、告示で行われた。


文部科学省関係国家戦略特別区域法第二十六条に規定する政令等規制事業に係る告示の特例に関する措置を定める件
内閣府文部科学省 告示第一号  平成二十七年十一月十二日)

第二十六条の規定に基づき、文部科学省関係国家戦略特別区域法第二十六条に規定する政令等規制事業に係る告示の特例に関する措置を定める件を次のように定める。


国家戦略特別区域法(以下「法」という。)第七条の国家戦略特別区域会議が、法第八条第二項第二号に規定する特定事業として、平成二十九年度に開設する医師の養成に係る大学の設置(法第二条第一項に規定する国家戦略特別区域における医師の養成に係る大学の設置をいい、「国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」(平成二十七年七月三十一日内閣府文部科学省厚生労働省決定)に従い、国際的な医療人材の育成のため、一校に限り学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第四条第一項の認可を申請されるものに限る。)を定めた区域計画(法第八条第一項に規定する区域計画をいう。)について、内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、当該大学の設置に係る学校教育法第四条第一項の認可の申請の審査に関しては、大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準(平成十五年文部科学省告示第四十五号)第一条第四号の規定は、適用しない。


非常に長くごちゃごちゃと書かれており、読み辛いですが、重要部分だけ取り出すと、

「(国家戦略特区の)特定事業として、医師養成に係る大学(=医学部)の設置を定めた区域計画について、総理に認定を申請し、その認定をうけたときは、文科省告示第45号4号規定(=医学部設置規制の告示)を適用しない」ということです。特区認定で医学部新設が可能になりますよ、という意味になります。

これには条件が付けられており、それが、

国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」(平成二十七年七月三十一日内閣府文部科学省厚生労働省決定)に従い、
国際的な医療人材の育成のため、一校に限る

というものです。先に示した「3省合意」が限定理由として明示されている、というわけです。



これが、加計学園の場合には、どうなっていたか?

告示の内容はこちら>http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai27/sankou4.pdf


上記の告示を第1項とし、第2項に追加という形式がとられました。中身は、


2  法第七条の国家戦略特別区域会議が、法第八条第二項第二号に規定する特定事業として、平成三十年度に開設する獣医師の養成に係る大学の設置(法第二条第一項に規定する国家戦略特別区域における獣医師の養成に係る大学の設置をいい、「国家戦略特区における追加の規制改革事項について」(平成二十八年十一月九日国家戦略特別区域諮問会議決定)に従い、一校に限り学校教育法第四条第一項の認可を申請されるものに限る。)を定めた区域計画について、内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、当該大学の設置に係る同項の認可の申請の審査に関しては、大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準第一条第四号の規定は、適用しない。


となっており、見た目は殆ど同じです。当然に違っているのは、「医師の養成」ではなく「獣医師の養成」ですが、先の3省合意文書とは違う根拠が書かれているわけです。


医学部の場合には3省合意文書の決定が基本でしたが、今回は何故か「平成二十八年十一月九日国家戦略特別区域諮問会議決定」なのですね。前のは3大臣の合意、ということで決定文書だったものが、今回は「特区諮問会議」決定が来ている、と。3大臣の決定と同等の価値ってことを言うものでしょうかねえ?
諮問機関がここまで偉らくなった、と(笑)。


因みに、特区諮問会議決定のタイトル『国家戦略特区における追加の規制改革事項について』という文書は、同じ名称の文書が何十本もあるものなのですよ。非常に大事な「岩盤規制突破の告示を出すんだ」ってことなら、医学部設置の時みたいに特別のタイトルの文書でも作れば良かったのに、平凡な同名文書が多数あるものと同じくしておいた、というわけですね。「木を隠すなら、森」ってのはアニメなんかの鉄則らしいですが、それを地で行くものなのでしょうか。


要するに、元の文科省告示第45号が異常なんだ、ってことなら、告示まるごと撤廃するという議論をまずは出せよという話だし、獣医学部設置の場合の告示改正にしても、どこかインチキ臭いわけでして、「1校に限り」の文言は獣医学部の場合でも瓜二つってことで、真似するのに都合が良かったというだけではないですかねえ。




次は、記者会見での八田達夫の発言を見てみよう。


○記者 4条件についてお伺いしたいのですが、加計学園の計画というのは4条件を満たしていると思われますか。

○八田議員 当然思いますし、それは3大臣が満たしていると納得されたわけですね。

○記者 その根拠は議員の皆さん、どのようにお考えなのかと。つまり、国会審議を見ていても明確なエビデンス的なものは示されない中で、実際満たされているのかどうかというのはまだ疑問符がついたままだと思うのです。

○八田議員 まず、条件というのは元来つけるべきではないのですが、閣議決定でついたわけですね。それに対して3大臣が納得されたわけですね。私どもはもともと全部やりたいわけですから。

○記者 そういう議論ではなくて、その4つについてどういう形で満たしているのかという御認識をお聞きしているのです。

○八田議員 それは当然全部満たしているわけで、向こうが満たしていないのならば満たしていないと言うべきです。私どもはもともと全部やりたいわけですから。

○記者 つまり、先生方はどのように満たしているのか具体的に御存じないということですか。

○八田議員 基本的に説明責任は、そういう規制をつくっている農水省文科省の側にあると思います。そちらがオーケーと言ったら、それでオーケーだと思います。

○記者 どのようにそれが満たされたかというのは御存じなのでしょうか。

○八田議員 もちろん知っていますけれども、これにはいろいろな判断がありますね。それが当該の大臣がオーケーであると言っているのに、我々がそれはだめですと言うわけはないではないですか。しかも、我々は全部通したい側なのですから。


記者に問い詰められても、答えられず。

八田達夫は、満たしていることは知っている、と断言(笑)。しかし、記者には教えない、と。どうせ言えないから、でしょ?違うなら、学者だもの、即答しているだろ。

しかも、文科省農水省に答えさせろ、って、条件を決めたのも所管しているのも内閣府なんだが。行政の基本を知らない連中が、何故こんなに暴論をぶちまけることが許されるのだろうか。


答えられるわけがないんですよ。だって、獣医学部でしかできない、創薬の最先端研究なんて、特に決まったものがあるわけではありませんから。しかも、右も左も分からないひよっこ学生よりも、百戦錬磨の腕に覚えのある研究者を集めた研究機関の方が、研究分野においては圧倒的に優れているのは、ほぼ疑う余地がない。

国際レベルの研究云々を言うなら、ぽっと出の新設獣医学部なんぞ作るより、理研とか既存大学や研究機関を支援した方がずっと良い結果を得られるだろうね。


何でもかんでも、都合が悪くなると、挙証責任は、文科省農水省にある、って、官僚に押しつけて、自分たちは全くの責任逃れ。
獣医師の需給は無関係だって攻撃したのは、民間議員の方だったろ。検疫職員を増加するというのも、全然違うって言ったでしょ?

自由に設置させろ、って妄言を言えるとすれば、それは国や公共団体等から、補助金等を一切もらわずに運営する、完全自立の民営型の学校だけじゃないの?税金をガバガバ飲み込んでおいて、何を言ってるんだか。


それに、たとえ4条件の適合性が八田達夫説の「文科省農水省に説明責任がある」ってなったとしても、特区が自ら言った『獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応するための獣医学部』の適合性は、国家戦略特区側に説明責任、挙証責任があるんだよ。


1月4日>http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/bessi_hiroshima.280104.pdf


公募したんだから、これに適合したとされるのが、加計学園であることは確実。文科省が適合性を審査したわけではないぜ?
ならば、「新たな分野」というものの具体的な中身、それには「具体的需要」とやらが存在しており、それはどういう水準のものなのか、具体的数値なり需要見通しなりを説明出来ない限り、加計学園が合格したかどうか、誰にも分からないでしょう?

そこそこ「何らかの基準」ってのがあって、それに「到達してますね、だから公募に合格ですね」って、なるはずですよ?
だから、その審査した時の基準というものが、どういった内容のもので、合格してますねって判断したエビデンスを聞いておるのですわ。


それを、国家戦略特区諮問会議の連中も、内閣府の連中も、アベ内閣も、閣僚なり総理なり、誰一人として返答できてないのは、異常ですねオカシイですね、って話なんだわ。


医学部新設の場合なら、3省合意文書があるので、交渉結果も中身も具体的な新設大学の特徴なんかも、大体は掴めるでしょう?
文科省の方で言った言わないだの、いやいや厚労省がどうのとか、揉めないのは、文書の形で公表されておるかでしょう?何故、医学部設置はできたのに、獣医学部の場合には、これが全くないのか?って話なんですよ。


まあ、隠すべき理由というものが存在しておれば、必死でこコソコソとやりますわな。
それを実現させるべく、便利な手駒として用意されている人材というのも、分からないではありませんから。


これまで判明している情報からすると、まあ、真っ黒黒すけですわな。
ロクに説明もできないのに、よくぞまあ緊急記者会見なんぞやったもんですな。記者諸君の頑張りのお陰でした。よくぞここまで追い込んでくれました。有難うございます。


インチキを通したんですわ。
医学部と同じく、最低限の手続きを踏んでおけば、こんなことにはなってなかったであろうはずが、もうね、ボロボロですわな。諮問会議連中への眼差しってのは、ハハ―ン、となりますよ。


そこそこ知能があって、弁が立てば、口でならいくらでも言い逃れなんて、できますからね。詐欺師を見てごらんなさいな。書類とか物証がないと、口で勝てる人間なんぞ、そう多くはないですからね。


ちょっと一言:

昨日、本家の方にブログ記事をアップしたんだが、さすがに監視班はしつこいようだね。

前回の緊急会見は13日夜、あの時もブログ記事を書いた直後だったでしょう?

で、今回も、偶然の一致で、再び夜のやたらと遅い時間帯に記者会見となったわけね。拙ブログが、国家戦略特区諮問会議の批判を書いたら、直ちに弁解の会見をやっているかのようだけど。

まあ、いいか。
そっちが途中経過を読めるというのは百も承知なので、別に痛くもないわけですがね。想定の範囲内ってやつですな。