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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

TPPの命運を左右する米国議会のTPA攻防戦

先週行われた合衆国下院における投票結果は、ご存じの通りだ。
TPA法案は賛成219で可決されたものの、成立の前提となっていたTAA法案は賛成わずか126(反対は302!)の圧倒的大差で否決された。これにより、TPAは事実上成立困難となったわけである。

当初、TAA否決ならTPAの採決は行われない予定であったが、下院の投票にまでどうにか漕ぎつけた推進勢力の面子がまる潰れとならないよう、或いは再投票での可決の可能性を維持できるよう、儀式的に投票が行われた。それが219票獲得の結果だったのである。


下院のリーダー達は16日に再びTAA法案の採決に持ち込もうと、オバマ大統領だけでなく、反対票を投じた302人のうち90人以上を翻意させようと必死のロビー工作を行っている。
もしもTAAが通ってしまうと、死に体のTPAが復活してしまいかねない。


TPAが通ってしまうと、TPP交渉の再開となって、妥結に向けて「オバマ大統領最後の置き土産」ということになるだろう。故に、今日明日は気を抜けない、油断ならない時間帯ということになろう。

もしも再度否決されれば、復活はほぼ絶望的となろう。ダメ押しというのか、死亡宣告に等しいと言えばいいのか、こういう時の決まり文句がどうしても言葉が詰まって出てこないのだが、TPPは人々の記憶から消し去られることになるのは間違いない。ゾンビのように彷徨うしかなくなるのだ。


上院で可決した時、TPP推進勢力の凄い執念に恐怖したが、下院ではどうにか阻止できた。これはひとえに、米国の善良な人々が懸命に戦ってくれたお陰である。普通の人々がきちんと生活できるようにしたい、これを政治家に働きかけ、様々な活動を通じて投票行動に影響を与えることができたということであろう。


日本では、経団連をはじめTPP推進の経済界がイエスと言えば自民党の国会議員なんて全部が「参加」に簡単に転ばされてしまうのだよ。過半数の国民が反対していても、だ。
その点で、米国の政治は機能していると言えよう。羨ましい限りである。議員が議員としての職責・行動をまっとうしているからだ。選挙民の声を聞き、反対すべきは反対するのだから。


だからこそ、強力なTPPコアリション軍団のロビー大作戦を撥ね返し、反対運動を行ってくれた普通の国民側が勝利したものと思う。特に、全米労組団体が中心的役割を果たしてくれたと思っている。


この恩義は、決して忘れない。
一生懸命戦ってくれた善良な米国民に感謝を捧げたい。



拙ブログでは常々アメリカのことについて、厳しく非難するわけだが、それに関与するのは政治・軍事・経済などのごく一部のエリート層か支配層しかいないだろうから、普通の方々に対して何らかの悪印象を持つものではない。
面白い映画やドラマや音楽やスポーツやITものや芸術や学問や、…素晴らしい色々なことがアメリカの人々によって生み出されている。ぼくもそれは好きだ。合衆国を支える多くの善良な人々を信じてきたし、これからも正義の国であり続けてほしいと思っている。