怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

欧州の債務問題についての私見

これについて、以前に少し触れたことがあるが、再度取り上げてみる。

1)欧州経済危機の本質とは何か

簡単に言えば、「国債の買い手が不足、不在、見つからない」というようなことである。どうしてこうなってしまったのか?
いくつか要因があるものと思うが、個人的推測を書いてみたい。

・金融機関のデレバレッジ
これは、ニュースなどの解説でも以前から出されていた話なので、目新しい論点ではないだろう。

ヘッジファンド等の不振:
11月決算直前で金欠?(笑)
そういう話ではないだろうが、新規資金流入が細った、逆にキャッシュアウトが増加して現金化されると、資産売却の為の債券売りが増える可能性。

・年金基金等の大口投資家動向:
これも正確には分からないが、運用規定などで格付けに支配される部分がある可能性。格付けが引き下げられると、運用指定から外れてしまい、売却処分せざるを得なくなれば、資金引き上げ効果となってしまう。また、運用収入減少+加入者払込保険料減少で取り崩し額が増加すると、現金化の割合が相対的に増加するので、過去の「買入」方向から逆回転となり、「売却」方向へと進む可能性。

・ジャパンマネー減少?(笑):
前記年金基金取り崩しと同じような意味合いだが、日本の厚生年金などは取り崩し額が増加しており、方向としてはキャッシュアウトに向かっていたので、外貨建債券運用は額は小さいかもしれないが、一応、売り越し方向に進むだろう。
円高局面が亢進以前であると、外貨建資産への投資(FX、投資信託等)資金が継続的に入っていたものが、この資金流入が途絶えると売り越し方向に進む可能性がある。特に、日本人の好みの傾向としては、比較的安定的とされた外国国債投資信託で、かつ毎月配当のような「持続的に現金化」してゆく必要のある商品に人気が高かったように思う。こうした投信は、新規資金流入がない場合には、余程の運用収益(受取利息)がなければ、保有している債券を売るといったことが必要となるので、隠れた売り主体となってしまう可能性が高い。
円高が想像以上に早く大きく進んだので、これら外国債券投資タイプの資金は細ったのではないか、と推測している。


従って、過去の好景気時期は、
・買い手が多かった(新規買い資金が流入
・運用先(利回り)を求めて大口投資家たちも買い進んだ
・その為ミドルクラスの債券でも金利が低下していった
・結果的に債券新規発行が容易な環境に

後退期に入って、
・買い手が減少(売り越し増加)
・ファンド、年金基金、投信等買い資金減少
・その為金利上昇
・債券価格下落や格下げが嫌気され更に買い手が逃避
・結果的に好況期発行債券のロールオーバーが苦境に(←今ココ)

国債借換の引き受け手を探しているのだが、かつての買い主役だった銀行等の買い資金は枯渇、新マリオ・ブラザーズの一人、ECBドラギ総裁(スマン、ギラドは間違いだった。さっき気付いた。これはまるで「モガベー(モバゲーの言い間違い)by ナベツネ」のようだ、笑)は買い手役を拒む、独仏の買い資金も限りがある、等々、困った状況になっている、ということである。


2)対策をどうするか

以前にも提案したことがある(ユーロ危機は誰にとって好都合なのか?)が、ユーロを買う、ということになるであろう。
日本の対応として、次のような手法を提案したい。


外貨準備で保有するドル資金が約1兆ドルある。これを一部売却し、ユーロ買い資金に充てる、ということである。ユーロでイタリア国債やスペイン国債を買う、といったことになるであろう。もし、ギリシャ国債のようなリスクの高い国債も買ってくれ、ということになる場合には、条件付きとする。

日本が保有するドル資金は、持っているだけで為替損が40兆円規模なのは変わりないから、世界経済の為に役立てる方がよい。

ドル売りとなるので、ドル円で見た場合には円高要因にはなってしまうが、ユーロ高となるので、純粋な円高とは異なるはずだ。
また、現状では、決済用ドル資金が逼迫気味であると思われるので、その点においてもドルを放出した方がよいだろう。なので、ユーロ買いと同時にドルの流動性供給源とできるであろう、と。
現状、ユーロドルではドル高となっていること、米国債利回りは2%割れ水準なので、売られても大勢に影響はなさそうなこと(金利暴騰を招くとは考えられない)から、ドル売りユーロ買いを実施してもよいと考える。


ユーロ圏では、ドイツが各国の財政規律に注文があるのなら、モニタリングをドイツなりユーロ内で監査報告ルールみたいにやるなり、考えてもらえばいい。ギリシャに貸せ、ということなら、日本が引き受けてもいいと思うが、念の為担保を取ることを考えてもよい。
担保としては、例えば

 a)電気料金の○%優先徴収権(徴収された料金の1〜5%くらいを返済に充ててもらう)を10年とか20年、といったもの(貸出金額に応じて、デフォルトなければ、発動しない)

 b)ギリシャの主要港湾利用料の優先徴収権(港利用に料金を徴収、そこから返済に充ててもらう)を10〜20年、といったもの(同上)

 c)著名観光名所の拝観料の優先徴収権(代表的観光施設の料金徴収、返済に充ててもらう)を10〜20年、といったもの(同上)

もしも、あまりにデフォルト額が大きい、という場合ならば、観光名所の担保物件の権利取得まで付けておけばいいと思う。外国にもらわれていく位ならば、頑張って払うのではないかな、と。
ギリシャだけではなく、イタリアやスペインでも通用する条件であると思うので、返済に不安があるのであれば、これら「将来の支払い分」に権利を持つようにしておけばいい。
日本の外貨準備金を投入する場合、税金投入と同じ意味なので、あまりに巨額損失であった場合には、国民に納得してもらえない。というか、今の40兆円の巨額損失でも、既に納得できる範囲ではないことは確実だが。
そういうわけで、念のため、担保を設定させてもらう、というのが有効ではないかと思うわけである。

こうすると、日本は金の出し手であるが、監視役はドイツとかフランスとか、その他ユーロ内でどうにかしてもらえるわけで、役割を分離した方がいいのではないかと思う。金も出すけど、口も大きく出す、ということになると、双方とも反発しがちなのではないかと思うので、日本が第3者的立場で金だけ出せば、監視する側と監視される側は「あまり行き過ぎた関係」にはならないだろうから。日本がハメられるとすれば、監視役が怠っている場合だが、国際社会の関係上、それは考えられない。わざとデフォルトさせて、日本に多額の損失を与えさせても、メリットというのは殆どないからね。

それに、現時点で過激な「歳出カット」「大幅賃金カット」というのを受け入れ難いなら、将来収入から返済してもらうように考える方が、受け入れ側(ギリシャ等)の軋轢は軽減できるのではないか、と思うからである。