怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

さよなら「電力足りない論」

電力が足りているというのはデマだ、といったような批判が存在する。

http://d.hatena.ne.jp/ryoko174/20120722/1342905433


一見すると、きちんとした批判のように思えるわけだが、ここには落とし穴がある。はっきり言えば、誘導、ということである。

5月時点の見通し「2542万kW」を意図的に出すことに、何らの意味もない。

何故この数字を出すのか?
いかにもマイナスになるかのようなイメージを作っているだけである。これは関電が出した数字が正しい、という前提が必要であり、これまで根拠が疑われてきた数字でしかない。

以前から、水力+揚水発電分をわざと低く見積もっている、ということを指摘していたわけである。


4月15日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e576b6c6f19145f70f846aa08321d080

5月25日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/feb6e149be87ba006b141826cd6cd785


彼らの説明はウソを交えている、と指摘しているのに、その数字が正しいかのように扱うのは不適切である。


水力発電揚水発電分が増加したのは、原発を稼働させた為ではない。
事前の説明で、数字の誤魔化しが可能だったのがその2つであったからだろう。例年の数字が正確に分かっている運転者(関電側)ならば、両者の合計値がどの程度になっているかは、ほぼ予測できるはずである。逆に、もし分からないなら、事業者失格と言ってもいい。


例年の正確な数字、データが揃っていて、それを公表し正しく説明するなら、3月や4月時点で出してきていた供給力の数字が出鱈目だったことが判明するだけであろう。勿論、5月時点で出した2542万kWという根拠についても同様である。


発電量で見れば、水力発電の方が揚水発電の約4.5〜10倍程度多い。4月や5月に限ってみれば、15倍程度は多い。だが、最大電力供給力では、揚水発電の設備容量が大きいので、逆転した数字になることもあるのだ。揚水発電の電力供給はあくまでバックアップ電源であり、逼迫時に使える電力量があればよいだけである。時間が短くてもよい、ということだ。喩えはややヘンかもしれないが、短距離走のスプリンターであればいいということ。水力発電はマラソン選手に近いであろう。


関電の供給力の説明が明らかにおかしいということがどうして分かるのか、ということの理由だが、それは6月の需給を見れば明らかであろう。
今年3月までのマイナス予測もかなりいい加減な予測だったことが明らかとなったが、6月も関電の言う供給力が正しいなら、停電だったはずだろう。


6月5日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/fb485a35d545a78826f04434c973d10a


この記事中でも指摘したが、6月の最大電力は過去5年平均で『2634万KW』、最大値だと『2714万kW』である。
すなわち、原発稼働なしの状態で、2850万kWの供給力(予備率5%水準)が必要ということだ。だが、節電要請すら始まっていなかった。


どうして節電要請がなかったかといえば、それだけの供給力確保が可能であったか、需要がそんなに行かないという予測があった、などということがない限り、需給はマイナスに陥ることになる。
もし供給力が7月より大きい、ということであると、水力発電揚水発電量は毎年6月に多く、7月には大幅にダウンする、というデータが必要となる。
だが、そんなのは事実ではない。水力発電稼働率などを調べるべきだろうが、梅雨時期を過ぎると出水率が上がるので水力発電(自流式、貯水式)は多くなることが予想され、発電量自体が多くなるだろう、ということだ。勿論、雨の量によって年ごとで変わるが、6月と似た水準か大抵は7月に発電量が多くなる。


つまり、関電の出した水力と揚水発電の数字は、かなり過少になるように出された数字である、ということだ。そのことで、需給差をより「大きく見せる」ことが可能になり、マイナス幅が大きくなることで原発稼働を正当化する、という目的を達せられるからだ。


そういう数字の誤魔化しを触れず、単に5月時点の数字より多いとか少ないといった議論をすることは、妥当性を欠く。


因みに、原発稼働がないので火力発電がフル回転、みたいな話も出鱈目である。

関電の4月と5月の火力発電の稼働率は、それぞれ66.2%、59.3%だった。火力がフル稼働とかいうデマを拡散している連中が大勢いるが、それこそデマだ。