怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

続々・北海道電力の鉄塔倒壊について

先日の続きですが。
ちょっと引っかかるので。


当初、北海道電力会見では、復旧した、ということのようだったみたいです。


http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/422591.html

道南の送電線は復旧 北電会見(11/27 13:33、11/27 14:41 更新)

北海道電力は27日午前に開いた記者会見で、室蘭市をはじめ胆振日高管内などで最大約4万1千戸で停電が発生したのは、暴風雪で送電線が振動し、送電が自動停止したことが主な原因とみられると発表した。

 これとは別に、道央と道南を結ぶ主要な送電線「道南幹線」も、送電線の振動が原因で、午前4時20分ごろから順次、全2回線が停止したが、正午すぎまでにいずれも復旧した。渡島管内知内町に知内火力発電所があるため、大規模な停電は起きなかった。<北海道新聞11月27日夕刊掲載>

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ここでの説明が、電線のギャロッピング現象で自動停止、ということだったのではないかと。この時の説明では、鉄塔倒壊という話は出ていない。

また、道南幹線で停電が起こらなかったのは知内発電所があったから、という説明である。70万kWの知内発電所があったので、停電にはならなかった、と。

では、何故室蘭では停電したのだろう?
伊達発電所が同じく70万kWなので、室蘭―登別間の途中で断線したということなら、伊達側から送電されている室蘭では停電しないような気もするが。人口規模や世帯数で見れば、函館の方が室蘭よりも多いとしか思えないわけだが。

記事からすると、復旧したかのようにしか受け取れないわけである。
一部停電地域が残っていたのかもしれないが、殆どは復旧したのかなと。


しかし、その数時間後には、停電範囲は改善していないばかりか、むしろ広がっているような記事となっている。


http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2705F_X21C12A1CZ8000/

2012/11/28 1:33

発達した低気圧の影響で、北海道は27日午前から猛吹雪となり、室蘭市などで約5万6千戸が一時停電した。暖房が使えない住民のため、登別市など7市町は計26カ所の避難所を設置し、道の集計で少なくとも約260人が身を寄せた。

 北海道電力によると、停電は、雪の重さで登別市の鉄塔1基が倒壊したのに加え、送電線が断線したのが原因。27日午前3時20分ごろに伊達市で発生し、室蘭市登別市などに広がった。28日朝までに順次復旧する見通しだが、鉄塔の修復には最大3日程度かかり、周辺では当面停電が続く。

 道警と道によると、転倒するなどして3人がけがをした。このうち転倒した新ひだか町の70代の男性は骨折の重傷。

 室蘭市登別市の全域で信号機が点灯しなくなり、倒れた電柱や木が道路をふさいだ。室蘭市の市立室蘭総合病院は自家発電に切り替え、外来を休診した。

 停電や倒木により、JR函館線や室蘭線で列車計168本が運休した。新千歳空港では70便が欠航した。

 道は7市町に災害救助法の適用を決めた。自衛隊は道の災害派遣要請を受け、登別市にストーブや毛布を届けた。

 札幌管区気象台によると、27日の室蘭市の最大瞬間風速は秒速39.7メートルだった。〔共同〕

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鉄塔が倒壊したのが27日の何時頃だったか、ということが問題だ。
雪の重さで倒壊、って、それは明らかにおかしい。もっと豪雪地帯の鉄塔でさえ倒壊しないし、この日の積雪があったとて、鉄塔にかかる重さで倒れることなど考えにくいだろう。電線が風でバタついて倒れた、というのが普通の発想では。

高速道路上の電線の写真では、電線が切れているというより、鉄塔から外れて下に降りている、という風に見えていた。テンションがかかっており、断線ということではないように見えていた。登別側の鉄塔との間では切れていたのかもしれませんが。

風速40m/sに耐えられる必要があるのに、これで倒れるというのは基本的におかしい。

いずれにせよ、当初の発表との食い違いみたいなのがあって、わけがわからない、とは思う。




それから、節電とか原発再稼働には全く無関係なのに、こじつける人間がいるようである。

これ>http://togetter.com/li/417996

ほぼウソだな。
これまでにも、ブラックアウトになってもいいのか、という脅しをする愚か者たちは多く見かけたが、そういうのと一緒であるな。


室蘭以外の場所でも停電事故があった、ということのようだ。

http://www.nhk.or.jp/lnews/sapporo/7003966545.html


そうですか。
まず、ツイッターで色々言ってる論点について、少し書いてみることにする。


①送電網の切断等の停電は原発稼働にはほぼ無関係


yuumymy曰く、
『先日の室蘭などの停電は4日間続きました。来週から7%以上の節電を求められています。普段から節電してるのにこれ以上どうやって節電しろと?足りないなら原発稼動しろって知人は皆怒ってます!』

先日の4日間の停電、昨日の6時間の停電、これらは「送電用鉄塔の倒壊」と「倒木の電線接触」、ということなのであるから、泊原発稼働の有無や節電有無には無関係。台風後の停電などと同じであって、原発稼働に関係ない。電線が切れないようにするのは、難しい。


②人工呼吸器への影響

yuumymy曰く、
『今朝5時の時点でも浦幌町付近は停電中です。浦幌に親戚がいますが電話が通じません。今日は異常な寒さです。それに北海道には道内で人工呼吸器を使う在宅患者だけでも820人以上いるんですよ。節電させて電気代上がるって納得出来ない!』

まず、過去に予告なく起こった停電の時―全国では年間数回というレベルで発生しているはずですが―には、どうやって対応してきたと考えているのでしょうか。みんな、何の対策もとれずに停電になった途端に人工呼吸器が止まり、次々と患者さんが死んでいった、と?

そりゃ、ウソだろう。

こういう情に訴える主張をすると、反論できないだろう、ということを殊更言う人間というのは、原発推進派に多くいたわけである。国会議員でも同じことを言っていたヤツがいる。東電が震災直後に行った計画停電の時にも、枝野がそういうようなことを言っていた。信号機が止まったら大事故だ、とか言ってた市川なんかも同じ。
これだ>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/920a924eb9a5b8fea8ccd512bc5e3b8b


まず、医療機器の多くは、バックアップ用バッテリーが搭載されている。心電図モニターや人工呼吸器なんかもそうだし、シリンジポンプの類もそう。停電になったからといって、全部が即停止するというわけではない。
在宅用のベンチレーターも殆どは内臓バッテリーで暫くは動く。なので、突然の停電になったとしても、いきなり作動停止となる可能性はかなり低いはずである。
更に、在宅酸素やベンチレーター使用患者の多くは、予備バッテリーや酸素ボンベを保有しているケースは多い。大体、電源が取れなくなった途端にベンチレーターが動かないということになると、外出したりできない。病院にも行けないではないか。

なので、予備バッテリーで外出したりすることを考えると、停電で即止まるという発想はほぼ間違い。ただし、4日間といった長期間の停電が継続する場合には、予備バッテリー持続時間に限度があるから、何らかの緊急避難措置が必要となる。
北海道電力経産省厚生労働省が、在宅患者の全部を確認し、予備バッテリーを配って歩いたとか予備電源を提供したという話は、一切聞いていないわけだが(笑)。

あと、電源が落ちても、手動換気は可能なので、必ずアンビューセットとか手動バッグの類は常備されているはずだろう。すなわち、電源がなくても、必ずしも換気不可能ということにはならない、ということを意味する。

今回の対応を見る限り、北海道においては突然の長期停電に陥ったとしても、「特別な対策はなくともよい」「特記すべき停電起因の事故は報告されてない」ということである。

人工呼吸器が止まってもいいのか、という脅しみたいな話は、ほぼ出鱈目な前提からできていると思われ、原発稼働を再開したいが為の理由でしかない。


③震災以前の原発稼働期間でも毎年停電していた

yuumymy曰く、
『道内あちこちで停電になりました。浦幌以外は復旧しましたが。真面目に北海道で原発即稼動せよ!のデモが起きてもおかしくないですよ。 脱原発デモの人達は日当貰って騒いでいるようだが、こちらはまさに今ここで起きてる事で死にかかわる問題です。』

さて、過去に毎年毎年停電が起こってきたわけだが、そういう時にも「生死に関わる」と大騒ぎしていた人たちは、みかけなかったが。台風後の停電とか、よくあったけど、それで「死ぬだろ」と大騒ぎして「許すな停電」運動みたいなのをやってたのか?(笑)


北海道電力管内で、2010年以前の年間停電回数でも調べてみたら?
停電がゼロだった年は、一度たりともないのではないですかな?

そんなもんは、節電の有無や原発稼働の有無には関係なく、原発が動いており節電要請すらなくても、必ず停電していたんだろうよ。

仮に、年間1戸当たり停電回数が0.2回だとすると、契約件数5戸に1戸は年に一度停電に遭遇している、ということですわな。つまり、かなりの頻度で停電する、ということだ。普通は、停電に遭遇しても大多数は時間が短いということで、多くの人にとってはあまり実害が及ばない、ということだろう。けれど、毎年停電はあった、ということだ。それで、殺す気か、とか言っていたのかと言う話である。市川眞一みたいなヤツの主張と同じだ。毎年停電してきたのは無視、しかし原発停止後の停電は許さない、と。


④冬期間の暖房費と電気料金

yuumymy曰く、
『北海道は冬は燃料費や電気代が普段よりずっとかかります。7%の節電は今月から来年3月まで。冬の間ずっとですよ。今、脱原発ゼロとかって吠えてる候補者は北海道に来ないでほしいです。』


北海道の暖房設備の殆どは、電気以外の「灯油、石炭、ガス」によってまかなわれている。
オール電化住宅の普及率は知らないが、かなり少ないのでは。
発電した電気で暖房するのは、エネルギー効率がかなり悪い。

多くは石油による暖房であろう。
ただし、その石油暖房機器そのものの作動条件として、電力を使う、ということがあるだろう、ということである。

よって、送電網の事故切断等に備える、という防災の観点からすると、スタンドアローン型の自家発電自家消費型が圧倒的に有利。

電力需要増加要因は、そういうこともあるし、電気毛布、こたつなどの使用量が増加すること、昼間時間が短く暗くなるのが早いことによる電灯需要、坂などのロードヒーティング使用で需要増、等々があるかもしれない。

ただ、電気による暖房需要をガスに移行させる等の対策をとれば、自家発電自家消費の威力は発揮されやすい。エネルギー効率の点でも改善される。一次エネルギー使用量に占める暖房が大きいからだ。熱産生に伴って、発電にエネルギーを使うことができれば効率が向上するはず、ということである。


それに、電気料金値上げの話というのは、正確性を欠く。

仮に、現在の電気使用量を100、電気料金単価を100とすれば、合計10000である。利用者に請求される電気料金が10000だということである。

では、ここから節電を頑張ったとしましょう。10%の削減ができました。すると、使用量は90に減りますね。しかし、電力会社が燃料費増加分と称して10%の値上げをしてきました。これにより電気料金単価は110に増加します。そうすると、請求される電気料金は

 90×110=9900

となりますね。すると、節電をうまくできれば電気料金はほぼ同じくらいか、若干下がる可能性もないわけではありません。


しかし、実際にはそういうことには中々なりません。
それはどうしてか?

原発維持費用がかかり続けるのと、節電を頑張れば頑張る程、電力会社は経営難へと追い込むことになるからです。極端な例で考えれば、もしも自家発電と節電によって電気需要がこれまでの50%に半減したとすると、どうなると思いますか?


これまでの電力会社が同じような経営体制であると、単純に売上高が半減すれば、大赤字に陥ることは避けられないでしょう。つまり、国民が頑張って節電すればするほど、電力会社は経営が苦しくなり値上げ幅を更に増やす、ということです。
これからも、電気料金値上げをしてくる主要な理由は、需要減、です。人口が減る、製造業の移転・産業構造転換、そういうことで産業用も需要が減るわけですから、売上が右肩下がりで減ってゆくとなれば、電力会社は苦しくなるに決まっています。


では、電話会社はどうでしたでしょう?
電電公社の民営化と競争政策によって、電話料金は低下しました。固定電話の台数は着実に減少してきましたが、それで毎年毎年値上げなんかされましたか?

むしろ逆です。
料金を下げないと、利用者は減る一方ということです。ネット回線の光だって、料金引き下げとなったではありませんか。
NTT以外の競争相手がいるので、価格競争が起こります。だからといって、電話がかからなくなった、という人はいたのでしょうか?固定電話は、きちんとつながります。通話料金は下がってきましたが。

かつては電話加入権と称して、7万数千円も払わされ、高い通話料金を払わされたものですが、今では加入権なんて話は聞きません(笑)。市内3分10円、市外だと1分100円とか200円とか、べら棒に高かったわけですが、そういうのもなくなりましたね。

いずれにせよ、電力会社の経営体質が変わらなければ、節電が普及するほど経営難となって料金値上げと言ってくるだろう、ということです。


再度言っておきますが、停電で「凍え死ぬ」だの、「人工呼吸器が止まって死ぬ」だの、「信号機停止で大事故だ」だのといった、出鱈目な論拠を言っている人には、原発再稼働云々ではなく、もっと「スタンドアローン」な電力供給体制を構築せよ、という主張をするべきでしょうな。