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福島原発事故を巡る東電の大罪〜12

福島原発事故後に、あの恐怖の現場で作業を継続してくれた人々の行動と勇気には、心の底から感謝申し上げたい。
英雄的行為を命懸けで実行してくれた人たちがおられなければ、今の日本はなかった。本当にありがとう、と思っております。



今は亡き吉田所長も、ガンで命を落とされたと報じられていたはずだ。原発推進派たちの二言目には、「原発事故で死んだ人は一人もいない」という妄言に同意することなど、到底できない。

吉田所長の死は本当に被曝による発癌ではなかったのか。あの過酷な事故がなければ、こんなに早くに若くして命を落とすことなどなかったのではないのか。

私には、事故が原因で亡くなられたのであり、命懸けで日本を守った為に、吉田所長は死去されたのだとしか思えない。


吉田所長は、表に出ている数少ない犠牲者なのではないか。
本当は、もっともっと大勢の方々が犠牲になられたのではないか。
そういう方々の命を、「誰も死んでない」などと軽んじることができようか。
真に使命感と勇気だけで、日本を救ったのだ。


彼らの犠牲をなかったことにすることなど、できない。
次の事故が起こった時も、死地に飛び込んでこいと命じなければならないような原子力発電所ならば、やるべきではない。



犠牲になられた方々の命を無駄にしない為にも、事故の原因と全容を明らかにすべきなのである。



福島第一原発において、最初から外部電源が喪失となったのだろうか?
その前提からして、かなり疑わしい。
発電所内の外部電源がなく、発電所内での発電も全部が地震スクラムで停止したなら、まずやるべきはRCICかHPCIの起動である。1号機にはRCICがなかったわけだから、当然に選択の余地はなく、HPCIを起動するはずだ。簡略化したマニュアルのフローチャートでも、まずそこが最初のステップとして書かれているわけだから。


そのHPCIを起動していなかった時点で、発電所全停が起こった(全号機のスクラム後、計測機器電源が全て失われた為にMSIV全閉となった、というのが東電説明である)というのは、信じ難い。


D/Gが給電するまでタイムラグがあるのは当たり前だし、その場合には原子炉スクラムに伴う警報だけでなく、タービンや各種ポンプ関係、電気系統関係の警報が連続的に出ることになるわけで。
普通に、所内電源喪失、というのも確認されるわけである。それはD/Gからの母線充電が済むまでは、当たり前の応答だから。
また、480V P/C接続機器は全てに故障警報が出される。これも普通の応答であって、故障ではないし、D/Gが壊れたわけでもない。そのように表示されることになっている、というだけである。


しかし、パニック状態に陥っていたりすると、そうした警報が「異常発生による警報」なのか、電源切替に伴う「普通の形式的な警報」なのかの判別がつかない、ということになってしまうかもしれない、ということ。


推測では、3号機と1、2号機では初期対処が異なっていたであろう。
1号機では、原子炉モードを「停止(SHUT DOWN)」に切り替えることすら暫くの間忘れていたようであるから、適確な対処ができていたとは思えないのである。


多分、3号機では外部電源がしばらくは生きていたのではないか。3基の中では、当初から複雑な操作を必要とされなかったのが、この3号機だっただろう。しかし、2号機は2010年6月の時の事故と似ていて、同じく電源切替に失敗したのではないか、と。D/Gは起動しているものの、そこからの電源供給の方法が正しく出来ていなかったのではなかろうか、と。その理由は不明である。
何かの論理回路である操作(例えば何かのスイッチを入・切の切替とか、他の何かの条件を解除しないと遮断機が入らないとか何とか、みたいなこと。具体的には全く分かりません)をしないことなのか、設備的な問題なのか、分からない。


けれども、2号機においては交流電源喪失状態に陥ったのが、2010年6月の事故とよく似ていた、ということ。なので、最も早く(14:50)にRCICの手動起動を行ったのであろう、と。1・2号機の外部電源は喪失したが、D/Gは自動起動するので、正確な手順を踏めば電力供給はできたはずだ。

しかし、何らかの障害があってD/Gからの受電に失敗したものと思う。それでも、前年と同じで、どうにかなると思っていたのかもしれない。


むしろ、外部電源が来ていた(か、D/Gからの受電ができていた)3号機側から2号機側へ電源供給を受けようとして、切替操作が失敗に終わった可能性すらある。外部電源を本格的に喪失したのは、非常用母線関係のトラブルであったかもしれない、と。系統負荷の保護機能で外部電源が遮断されてしまった、とか。電気屋さんじゃないと理由は分からないと思うけど、そういった何らかの事情があったからなのではないのかな。


電力供給が回復しないと、読める計器類が限定される、ということが、1・2号機の原子炉の安定維持を困難にした。限られたパラメータだけから判断しなければならないので、熟練が要求されるだろう。使える冷却手段も限られるわけだし。


また、タービン建屋の状況確認に行ったのが18時以降だったこと、大勢の人たちが大慌てで逃げたことというのは、恐らく初期の放射線量の上昇がどこかにあったから、ではないのか?

まず、中央制御室の人員が直ちに降りて確認に行かない主な理由は、例えば1号機での地震直後のリーク発生があったから、なのではないか?
線量が上昇している場合、保安上の理由により「お前、被曝覚悟で行ってこい」とは簡単に命令することができないから、だ。現地のリーダーたちは、そういう非情命令を当然とするような軍隊的訓練を受けているわけでもない。

それこそ、「志願する人」が出てこないと、高放射線量領域に「入って確かめてこい」とは言うことができないから。志願兵のように、被曝上限の規定を破ることになっても、確認しに行こうという人が出てくるまで時間がかなり経っていたのではないのかな、と。


恐らく、確認するにしても「近づきたくても近づけない」理由が存在したのであろうな、ということである。そうして、18時過ぎ以降になってから、志願した「決死隊」のような偵察隊が行くことになって、外部から建屋内に入れそうかを確認したのではないか。


一般家庭の停電が発生した場合でも、数時間後には復旧することが多いわけです。架線が倒壊したり、電線が切れたりしても、復旧作業というのは何時間かで実施できる場合は少なくない、ということでしょう。

当日、福島第一には、数千人もの作業員がいたんですよ?
津波が去った後の16時以降に、全交流電源喪失であったことは明白だったわけですよね?
その時、どの個所で停電が発生しているか、調べないなんてことがあるのでしょうか?一斉に手分けして、全線の確認をすれば良かったのではありませんか?何時間も使える電機設備が判明しない、なんてことがあるものでしょうか?外部電源復旧作業をいち早くやらないなんてことが、あるのでしょうか?


どうして、3人一組で100〜200グループとかを作って、一斉に被害状況確認とか、復旧に必要な作業の洗い出しをしなかったのでしょう?

できない理由があるとすれば、放射線量上昇により、屋内退避をすべき、とか、接近が困難といったことではなかったか?
そうであるなら、数千人も人がいる、ということの方が、混乱の種になってしまうだろうから。羊の群れが数頭なら、羊が音にビックリして走り回ってもどうにか制御できるだろうけど、数百頭の群れともなれば制御が困難だ。それと似てる。まず、混乱する大群をどうにか整理を付けるのに多くの人手や労力を割かねばならず、対応が後手に回るかもしれない。


重機だってあったはずなのに、電源車が到着するまでに受け入れ準備が出来ていたとは到底思われないわけです。だって、真夜中にほぼ手作業、人力で頑張る、ということだったわけですよね?

明るいうちに、何の準備もできてないことが本当に不思議だ。停電後なら、夕方以降は真っ暗なのは当たり前だし、機動隊の投光機を寄こせ、ヘリでもいいから照らせ、とか、いくらでも考えつくだろうに。報告書をいくら読んでも、津波以降からは、「何をどうしようとしていたのか」ということが全く分からないわけです。判断や行動の根拠となった事柄(説明)が皆無で、事後的に言い訳を考え出して辻褄を合わせた程度にしか見えないから。自発がゼロ、ということ。
(これをしなかったのはどうしてか?、というような責任追及をされたら逃れる為の言い訳や責任回避できる理由だけを述べるから、だろう。殆どが質問への回答のみで構成されている、ということ)


結局のところ、「主に現地で対処してくれ」「何が必要なことなのか分からない」「何を優先して作業・復旧すべきか分からない」「対処方法が分からない」「判断材料の見出し方も分からない」、そういう混乱だらけだった、ということだろう。正確な指示を出せる人間は、東電にも保安院にも原発企業にも、どこにもいなかった、ということだ。


それとも、実際には津波後でも電源が生きていた、とかであると、そう大騒ぎするほどでもないと思って、一刻の猶予もないという切羽詰まった感じで対応してなかったのかもしれないし。


何と言うか、専任伍長?さんみたいに、1号機の全体に精通している人間が1人でもいれば、短時間で必要なことがある程度分かりそうなものなのだが。そのような人は誰もいなかった、ということであろう。
運転員が何十人もいるのに分からないという代物であるなら、それは普通の人々が管理できるようなものではない、ということだ。



福島第一原発事故の、最大の要因は、「〜ができなくて困っているんです」「〜が分からないので、教えて」という、ごくありきたりの、本当のことを言いだせなかったこと、だろうな、と思う。


廃炉覚悟で「ホウ酸水を直ちに注入しろ」と言えたなら、爆発しないで済んだかもしれない。原子炉から漏れてる、って言えたら、危機対応は違っていたかもしれない。ICが分からないと言えば、もっと耐えられたかもしれない。
政府だって同じ。放射性物質が漏れました、って言うべきを、メルトダウンしてない、と言い張った。


こういう、隠すことだけが得意な人々によって原発を管理されてきたので、いざという時にも、そうした根本的に滲みついた習性が発揮されてしまったのだよ。


本当はこうなんだ、と言えば、おおごとにならずに済んだことが、隠し続け嘘の上塗りを続けた結果が、福島第一原発の惨状なのだ。こういう連中は、どこまでいっても信用することなどできない、って言っているのだ。何度でも失敗を繰り返す。

隠せばどうにかなる、って長年やってきたからだ。隠蔽すればなかったことにできる、という業界だったからだ。


なので、どこまでいっても、間違い続けるんだよ。
そういう体質だから、だ。
風土病だな。「原子力ムラ」特有の。