怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

クレディ・スイスの市川眞一の解説は傾聴に値しない

昨夜のWBSで偶然聴いた。


それなりに政府の仕事をやって、権力層に食い込んできている人物なのかもしれない。エネルギー政策に造詣が深い?ようで、原発比率50%を唱える人らしい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%82%E5%B7%9D%E7%9C%9E%E4%B8%80


世の中には、出鱈目コメントで飯を食ってる「●●の犬」タイプの連中は尽きないということなのであろうか。


まあ、竹田圭吾のような「救いようがないバカ」と己の無知を棚に上げて他人批判で豪語する人間もいる(http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/71cdb430ed6a290f2fff78f5e8ac278b)わけで、市川もそういう連中と大差ないということかもしれない。


市川は、原発を稼働させないことによる問題点を3つ挙げていた。
(ざっとの記憶ですので、番組中に提示された表と記述が異なっています)

①停電リスク
②雇用減少
③経常赤字からの国債暴落(ギリシャなど)


以下、彼の述べたコメント等について検討してみよう。

①として、市川曰く「信号機が止まり、交通事故になることもある」と説明した。大飯再稼働前にも、よくこうした例を挙げる人間は後を絶たなかったが、市川も同じレベルということであろう。詭弁士ならば、こういうことを言えば相手を「黙らせられる」と確信しているのかもしれない。

こういうことを言う人間というのは、そもそも原発を稼働させておけば「信号機は止まらない→交通事故につながらない」と信じ込んでいるのかもしれない。
信号機は停電で止まったりするのでは。日本全国で停電なんか起こってない、と主張でもするつもりかな?
当方は、そうは思わない。落雷とか自然災害なんかでも停電するだろうし、送電線の断線とか信号機自体の故障で止まることだってあるかもしれない。信号機の止まる理由は、原発が稼働している時だって色々あったはずであろう、ということだ。


例えば2010年までに毎年どれくらい信号機停止が起こり、その突然の信号機停止に起因する交通事故がどれくらい発生したか?これは原発が稼働していた期間であるから、10年か20年間くらいのデータで示せばいい。毎年「信号機停止」が起こっていたはずだ、と当方は推測しているが、原発支持派たちは「そんなことは起こらない」と言い張るのかもしれない。

関電以外の西日本5社管内で信号機停止はどの程度発生したか、出せるはず。毎年の発生がゼロだったのなら、それはそれでいい。で、今年の原発稼働のない年と比較してみれば答えは出るだろう。加えて、突然の信号機停止に伴う交通事故がどの程度あったかも、教えて欲しい。原発稼働の年と有意差がないのなら、原発稼働には無関係、という結果で終わる。


多分重大事故に繋がるのは、システムが狂ってしまって「双方青」みたいになると、その信号機を信じ込んで運転している人が圧倒的に多いから、「向こうが赤に違いない」と思い込んでどちらも止まらずぶつかる、ということになるだろう。

だが、信号機停止の場合には、どちらの信号機も真っ暗になるので、殆どの人はかなり警戒して交差点に近づく。手信号の警官到着前でも、信号機が完全に真っ暗になっているからといって止まらずに交差点に進入する人の方が、むしろ稀ではないのか。そういう警戒があれば、多くは重大な交通事故は発生し難いのでは。
台風被害の直後で、実際に信号機停止の事態に幾度か遭遇したことがあるが、複数の交差点で交互通行していただけだった。勿論、徐行する人しかいない。


それと、急な停電を防ぐ為に計画停電が公表されていたわけで、突如の停電になるなら、計画の意味がない。どの点で見ても、市川の指摘は全くの的外れである。


②の雇用減少についても、具体的な数字の指摘はなかった。
原発停止の東日本管内とか関電管内以外の失業率が上がり、成長率が軒並みダウンといった事実は、聞いてない。それに、製造業の雇用者数は原発停止以前から年々減少を記録しており、かつては1000万人以上いた常用雇用者はアジア圏など海外への工場進出に伴って700万人程度に落ちている。
この事実は、原発停止以前からの話であって、原発の稼働の有無には関係ない。
市川の論は、口から出まかせの類である。


③は、本職の経済関連なのだから、誰しもそれを当然だと受け止め易いかもしれない。クレディスイスという金融機関の人間なのだから、「マーケットのことはよく知っている」と思う人がいても不思議ではない。
しかし、経常赤字になる→国債暴落、という説は、日本特有のものなのか?
彼は「ギリシャみたいなことになるかもしれない」みたいな脅しを言うわけだが、だったら経常赤字が恒常的に数十年も継続している、アメリカ国債は暴落危険性が日本に比べて遥かに高い、だけど格付けは最上級のトリプルAだということの矛盾を立論すべきだろう。

要するに、ただの出鱈目である。
市川の妄想と違いが全く分からない。

経常赤字になれば、国債が暴落する、ということについて、事実をもって論証すべきである。貿易赤字が何年も続いた場合、予想されるのは「円安」である。そうなれば、経団連以下毎回毎回狂ったように言い募る「円高対策をしろ、為替介入をしろ」という要求が、難なく達成されて「良かったね」ということではないか(爆)。輸出企業が軒並み大喜びするではないのか。

市川は、原発を稼働しなければ、
燃料輸入費用が増える→経常赤字になるかもしれない→国債が暴落する
という出鱈目の、どれ一つとして立論出来ていない。

原発の稼働の是非とか原発比率の問題といったレベルの話ではなく、市川の提示している理由や根拠というのは、ほぼ空想か出鱈目で出来ているので、原発の問題から全く離れて、「市川眞一という人間の言う意見は、正確なのかどうか、嘘を言っているのではないか」という所から、まず始めるべきである。


それから、市川は再生可能エネルギーについて、比率を高めることは、現在の技術では不可能である、と言っていた。植田京大教授の、西日本6社の需給は比較的余裕があり、電力会社間の融通を促進という意見に対して、日本のグリッドは会社間の融通はあまりできないようになっている、というようなことを言っていた。

再生可能エネルギーといっても色々あるが、現在の技術水準で不可能というのはどういった根拠なのかは示されていない。
例えば風力発電だけでも、日本の総設備容量約2500MWに対して、米国は46919MW、中国は62733MWと言われる。つまり、中国は日本の25倍、米国は18.8倍である。2011年単年の設備容量増加分だけでも、米中とも日本の総設備容の数倍の増加があった。米国の過去3年間の増加分は20682MWに及び、中国は10、11年の2年間だけでも36928MWの増加があった。
これら米中両国は、技術水準が高いので設備増加が可能だったのか?
日本がマネできないような技術があったからこそ、これほどの発電設備が設置されたとでも市川は言うつもりか?


勿論、地理的条件は異なるから、必ずしも同列に論じることはできないかもしれない。しかし、技術水準から不可能、と言い切るなら、日本の2倍以上多い英仏独が可能なのはどうしてなのか、更に多い米中では何故これほど単年でも多く設置できているのか、理由を述べてもらう必要がある。

市川の言い分は、本当か?
ただ単に、やりたくないからやってこなかった、というのとどう違うのか?
風力発電設備が今の3倍とか5倍になったら、発電量が増加することは確実だ。要するに、推進してこなかったことの言い訳を述べているに過ぎない。日本で技術的に不可能なのであれば、他国でそんなにできるものなのか?

電力会社間の融通は「グリッド的に無理」みたいな話も、市川の空想だ。現実に中部電力から160万kWもの融通が行われていた。東西の分断というのはあったことは確かだが、今後全国的に融通を拡張することはできないわけではない。
現状の設備のままでもある程度の融通は可能なので、その水準であってでさえ、100万kW以上の融通はできている(西日本管内)。


そういうわけで、市川眞一の論はまるで役に立たない。