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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

またまた原子力規制委員会に関する池田信夫の無知

もういい加減、ウンザリなんだが、間違いだらけなので、書いておく。
池田は昨日のツイッターで次のように言っていた。


池田信夫@ikedanob

条文をちゃんと読んでみろ。「運転開始前に認可」と書いてあるのは保安規定だけだよ。 RT @radio826 保安規定認可だけでいいと述べてましたが運転再開には変更許可(炉規法四十三条の三の八1項)、工事計画認可(同四十三条の三の九1項)も要件となっているようにしか読めません。



『条文をちゃんと読んでみろ』とは、あなた自身のことですよ>池田信夫


自分の専門と語っている経済学も満足に知らないのに、行政法が期待できるはずもないわな(笑)。
何度説明しても、理解できない連中というのは、本当にどうしようもないな。


前にも書いたが、また書くことにする。
1/27>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/47abaa3da2f8bd403eb50c75b593efcb




そもそも設置事項の変更がある場合には、許可か届出が必要。


○43条の3の8 第1項

第四十三条の三の五第一項の許可を受けた者(以下「発電用原子炉設置者」という。)は、同条第二項第二号から第五号まで又は第八号から第十号までに掲げる事項を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、原子力規制委員会の許可を受けなければならない。ただし、同項第四号に掲げる事項のうち工場若しくは事業所の名称のみを変更しようとするとき、又は同項第五号に掲げる事項の変更のうち第四項の原子力規制委員会規則で定める変更のみをしようとするときは、この限りでない。

(2項以下略)
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また、工事そのものも認可か届出が必須。

○43条の3の9 

発電用原子炉施設の設置又は変更の工事(核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上特に支障がないものとして原子力規制委員会規則で定めるものを除く。)をしようとする発電用原子炉設置者は、原子力規制委員会規則で定めるところにより、当該工事に着手する前に、その工事の計画について原子力規制委員会の認可を受けなければならない。ただし、発電用原子炉施設の一部が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時的な工事としてするときは、この限りでない。

2  前項の認可を受けた者は、当該認可を受けた工事の計画を変更しようとするときは、原子力規制委員会規則で定めるところにより、原子力規制委員会の認可を受けなければならない。ただし、当該変更が原子力規制委員会規則で定める軽微なものであるときは、この限りでない。

(以下略)
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従って、ツイートのradio826氏の指摘が妥当である。
条文に「運転開始前」と書かれているかどうか、が決定的条件なんかじゃないことは明白だ。池田信夫の言い分は、出鱈目である。


43条の3の8の第1項から、発電用原子炉施設の位置・構造・設備(5号規定)の変更がある場合には、許可が必要。事故対処の為に施設(追加)・体制整備等(10号規定)の変更も同様。これに伴う工事は、許可工事と届出工事があるはずだ。43条の3の9の第1項から、これの許可を得なければならない。これら許認可がなければ原発を運転できない、というのは必然。



具体例はこんなのだ
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/press/BWR/25/12/1227-1.html



池田信夫は全くの出鱈目を言う前に、条文を読むなり資料を読んでからにしろ。



彼のような理解力の人もいるようなので、もっと具体的に当方の理解の範囲で平易に書いてみよう(1月の記事で野球の公式球の基準例と大差ない)。


以前の法体系における技術基準が「基準A」であったものとしよう。その後の原子炉等規制法改正で技術基準が変更され、「基準a」となった。

旧)基準A → 新)基準a

事業者は、この基準に適合していることが必要。適合していないと運転できない。技術基準に適合させる為には、既設原子炉施設の追加的な工事等変更が必要なので、原子力規制委員会許可申請を出すわけである。
この許可が得られていなければ変更ができていないことになり、すなわち「基準a」適合という条件が未達成ということになる。


「基準A」のままで原子炉運転を行うと43条の3の23第1項に該当し違法確定。或は、電力事業者が変更(工事)許可が得られてないのに自分勝手に変更して原子炉運転を行えば、原子炉等規制法43条の3の20第2項第2号に該当するので、やはり行政処分対象(最悪の場合、許可取消し)だ。


だからこそ、各電力会社は許可申請を出しているんじゃないか。これが法的手続きに拠らないものであるなら、電力会社がそんな申請書類を出す必要があるかね?



それから、池田信夫の大いなる勘違いを指摘しておこう。
「安全審査」というのは、旧法上でもあったものだ。旧NISAでもやっていた手続である。その審査期間は一概に短いとも言えない。


具体的には、日本原発敦賀3・4号機増設申請は、H16年から出されていたが、許可は何年も出されず大震災時のH23年時点でも許可されてない。東通原発の設置許可は、H18年申請から許可まで一部補正を5回繰り返した後、4年以上経過してから出された。浜岡原発での固化材変更申請にしても、H21年10月申請から許可が出たH23年1月まで審査期間がかかっていた。


安全審査についての申請の場合、一度も補正なく許可されていることはむしろ少なく、ほとんどは複数回の補正があった。補正とは、原子力安全委員会なり原子力委員会なりの答申を通す為に必要な「行政指導」のことである。別に、今の原子力規制委員会体制になった後から生じた、田中委員長体制下特有の事態ということなどではない。震災以前からあったことと大差ない、ということだ。



要するに、池田信夫安念潤司や諸葛宗男らの言い分というのは、ほとんどが思い付き程度の意見である。