怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

まだまだ続く・原子力規制委員会に関する池田信夫の無知〜バックフィット批判

ホントに懲りないね。
池田信夫のお仲間に、元官僚の石川和男だの、東大教授の岡本孝司だのを加えてみたって、何の役にも立たっていないのではないか?(笑)


3人が語り合ったらしい番組があったようだが、見てないから知らない。
まあ、何を言いそうか想像はつくがね。互いの傷を舐め合うくらいしかないのでは?


無知であるとか間違いしか知らない人だけが何人集まっても、多くの場合には正しい答えが見つからず、徒労に終わる。


こういうツイートがあったらしい。


石川和男@kazuo_ishikawa

原子力規制委員会設置法施行以前に建設された原子炉を計画外廃炉させるのであれば、国家賠償に関する制度整備をすべき。地震発生確率に係る挙証責任は規制委にある。



マジ、どうしようもないわな。
元官僚のくせに、何らかの利益優先で、眼が曇ったか?
それとも、通産官僚の実力というのが、こういう程度なのだろうか。
こういうヤツを見ると、日本の官庁は大丈夫かと心配になる気持ちが分かってもらえるだろうか?



法体系だけ考えると、そもそも賠償制度なんて作らなくてもいい。
原子力規制委員会は、いきなり廃炉にせよ、と命じる必要性すらないから、である。


最も簡単な具体例を挙げてみることにしよう。


地震動の計算の基礎となるモデルを変更するとか、昔あった基準以上に大幅に引き上げることによって、目的は達成される。


設計基準となった地震動S1が350ガルだったとしよう。
自然現象では想定不可能な水準と思われていた限界基準が、S2で500ガルだった。

建設当時には、この水準で耐えられるように作られた、ということである。


で、その後の新規知見が加わった、と。
過去の想定していた地震動よりも、ずっと大きい値が観測されてきた、と。

ならば、地震動の計算モデルを変更し、余裕を持たせる幅をもっと大きく取る必要がある、と規制強化を考えたわけだ。
例えば500ガルだったのを800ガルに引き上げ、さらに限界よりも余裕を持たせる幅を25%とって、1000ガルに耐えられるよう改修工事を全面的に行う、というようなことである。


これは、耐震基準が350→500→800→1000と、知見が加わる度に引き上げられてきた、ということと同じ意味合いである。
これをバックフィットであるから、違法だ違憲だ、賠償せよと言っているのが、池田や石川らだろう。


現実には、このような対応がとられてきたことを知らないんだよ、彼らは。
浜岡原発の場合も、大差ないだろう?


昔は、そんなに大きい加速度がかかるわけがない、と思って、建設してきたんだ。
しかし、実測値はそうした想定をはるかに上回る加速度だったんだよ。


なので、規制委員会としては、過去最大値を参考にして、それに耐えられる原子炉施設に全て改修せよ、改修できないなら稼働はできないよ、と言えばいいのである。例えば過去最大の地震動は4000ガル以上が観測されたらしい(宮城内陸地震08年)。よって、これを耐震審査の基準値と考える、ということにして、活断層モデルを厳しい数値適用にするとかにすれば可能だ。4000ガルに耐えられるように工事して下さい、と。計算モデルを変えることもあり得る。「昔は活断層の上に建設できたのに、今になって不可というのはおかしい!」みたいな意見は、全くの見当はずれである。上に建ってるからダメ、という短絡ではなく、想定地震動が引き上げられたら必然的に耐えられない、ということだけ。


その改修費用が膨大になってしまう場合、原発は稼働させず別の発電手段を考えた方がマシ、ということがあるのだ。
例えば改修費に1兆円投資が必要になる場合には、2000億円で廃炉にしても5000億円で再生可能エネルギーによる発電設備に投資する方が安上がり、ということが起こるわけである。これが商売というものではないのかね?通産官僚さまには、経済というものの観念が欠如しているのかもしれない(柏崎刈羽は基準値が2300ガルに引き上げられたはずだ)。



それから、池田信夫はバックフィットということが、つい最近になって行われたかのように言っているが、それはウソである。
柏崎刈羽原発中越地震後に耐震性能向上の改修をされたはずであるが、それはバックチェックということになっていたわけである。他の原発についても、ほぼ同様の手続きが取られていたものである。


2010年12月>http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/doukou/taishin/shingi.html




原子力安全委員会における議論でも、同様。

08年>www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/jishindo/.../siryo4-2.pdf‎




要するに、旧来組織では、『バックチェック』と呼称されていたものが、現在のNSRでは「バックフィット」と変更されたに過ぎず、池田が田中委員長体制下になってからはじめて行われた手続であるかのようにデマを拡散しているが、それは無知ゆえの妄言である。



もしもバックチェックを「違憲だ、国家賠償だ」と、昔から言い続けてきたのであれば、そういう主張があるのかもしれない、とは思う。しかし、今になって、過去の行政で行われてきたことと何らの違いもないものを、敢えて大騒ぎするというのは、何か別の目的か利益の為の行動ではないかなと勘繰りたくもなるわけである。





それから、岡本孝司東大教授ね、彼もWGとかのメンバーに07年くらいから入っていたはずではなかったか?
07〜10年の間、原発の事故や故障の評価委員会の委員だったはず。

岡本教授は、日本のD/G事故も知っていたし、海外の電源喪失事故例なども知っていたのだよ。
電力会社に、そういう事故を防ぐよう専門的意見を述べる立場にあった、ということさ。過去の体制や規制を知らないわけではないのに、今になって批判するのもどうなのよ、とは思う。あなたにも、事故の責任の一部はあったんじゃないのかね?



しかも、岡本教授は、東大の偉い先生らしいので、業者から毎年のようにカネを集めるのがうまいらしい。
三菱重工ね、教授に90万、85万、82.5万とか毎年寄付してたよね?
共同研究と称して、400〜500万円規模の研究費も使ってるはずだ。三菱重工だけではなく、日本原子力発電(株)からも、22年度と23年度に400万円クラスでカネが入っていたろう?


そういう偉い先生は、「原子力ムラ」の構成員と見做されても仕方がないんじゃないですかな?




いずれにせよ、バックチェックを知らない、池田や石川や岡本なんかが、ウソや出鱈目を言い続けても、誰からもお咎めなしということだな。


石川のような人間のおかげで、色んな勉強をさせてもらえて、うれしいですわ。
本当に、心の底から感謝しています。


自分の無知、不勉強を自覚できましたわ。
以前には知ることのなかったことを、目にすることができたというだけでも大きな収穫だった。