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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

首謀者アメリカと有志連合のシリア空爆は国際法違反

合衆国というのは、他人の都合を決して考えることがないので、常に自分本位であり、自国の事情と屁理屈を全世界に押し付けるのである。
アメリカ人が考える合法とは、あくまで自国の国内法で抜け道なり理由付けが可能な場合であり、これをもって米国は「合法だ」と言い張るのだ。それが他国の関係する国際法上での合法ということを意味しない。傲慢国家たる合衆国では、米国法で処罰を受けるか否かが合法・違法の判断の分かれ道であって、処罰されない場合を全て合法と言い張るのである。どうしてかと言えば、国際法違反だとしても、アメリカが誰からも罰せられる心配などあり得ないから、だ。罰を受けなければ何をやってもいい、という考え方がアメリカの基本原則である。

オバマ大統領が議会に新たな武力攻撃権限を求めた、といった報道があったが、アメリカの国内手続が完了できたとしても、国際法上での合法であることは担保されない。見せかけの「合法のふり」を演出する効果しかない。


イスラム国における邦人人質殺害事件において、安倍政権はイスラム国を集団的自衛権の対象、と政府答弁を行ったと報じられた。この事件によって、世界中で違法なことが堂々と行われている、ということが明らかになっているにも関わらず、アメリカが主導していると誰も批判もできず違法の指摘すらも憚られているのである。


日本政府及び安倍政権の法を無視する数々の行為は許し難いが、アメリカの暴虐も違法の限りを尽くしているのだ。そういう連中によって、世界は支配されてしまっているということである。


1)日本とシリア政府との関係

まず、最も疑問に思うのが、ここである。シリア政府、すなわち「シリア・アラブ共和国」という国家は消滅でもしたのか?日本とは既に国交断絶状態とか、国連からも脱退させられて政府代表者が存在しない、といったことでもあるのか?


恐らく、在日シリア大使館は東京に存在したままであろう。シリア政府は未だ消滅などしていないはずであろう。
日本政府とシリア政府との関係から見れば、依然として正統政府はアサド大統領が代表である「シリア・アラブ共和国」であるはずだ。もう一度書く。正統政府はあくまでアサド政権率いる通称「シリア」政府、ということだ。


2)アサド政権のシリア政府軍を日本が罰することなどできない

イスラム国の話が登場する以前から、アサド政権が化学兵器を使用したといった報道が出されており、それをアメリカがシリアを空爆する根拠として挙げてきていたわけである。

アメリカの卑怯な情報操作(イラク戦争開始時の「大量破壊兵器」を根拠とした前科を思い出すがよい)によるかどうかは、ここではおいておく。
たとえシリア軍が化学兵器を使用したとして、国際条約違反に問われる可能性がある(シリアがどんな条約を締約しているか知らないので)かもしれないが、それをもってシリア政府を日本政府が処罰することなどできない。できるとしても、経済制裁や非難決議などでしかない。

アメリカが枯葉剤を使おうと、対人地雷を使おうと、クラスター爆弾を使おうと、アメリカが誰からか空爆を受けたり処罰されたりなんかしなかったろう?
それと同じ。シリアはダメだが、アメリカならいい、とか、イラクやアフガンはダメだが、アメリカだけはやっていい、なんて理屈は国際法上では通用しない。


少なくとも、日本政府はアサド政権の正統政府たるシリア政府について、化学兵器使用や国際法違反行為があるということを理由として、正統政府の否認などには繋がらないし、戦争法適用となる相手国にはなり得ない。


3)シリア内戦にアメリカが空爆できる理由は存在しない

シリア内部で、イスラム国のようなテロだか革命集団だかが出てきたり、反政府ゲリラが登場したりしても、そのことを理由としてアメリカ軍が戦闘行為を実行できる法的理由は存在しない。ゲリラであろうと反乱軍だろうと叛徒だろうと、それらがテロ育成の脅威となるとしても、アメリカには処罰権限はない。

アメリカがやってることは、夫婦喧嘩をしてる家に何の理由もなく突然ヅカヅカと入ってきて、いきなり泣き叫ぶ女房殿をぶん殴っている、というのと同じである。頼みもしないのに、家宅侵入を勝手侵して、警察でもないのに殴るわけだ。その理由は「女房殿のひっかき攻撃が強烈だと思ったから」と。亭主=正統政府の存在を無視し、家屋内=域内の不法侵入を繰り返し、警察でもない=殴る権限など有するはずもないのに攻撃する、ということ。アメリカ以外の有志国がやったとしても、違法性は同じだ。


仲裁を頼まれてもおらず、亭主か女房からの加勢依頼もなく、家の外への侵害もないのに、家の中に飛び込んで行くことが合法のわけなかろう。ましてや殴る=武力攻撃など論外だ。警察でもないのに、何で殴れるんだ。明らかな内政干渉だ。国際法上、違法な干渉及び武力介入行為にほかならない。


4)反政府軍に加勢はできないのか?

原則は、前項に書いたように内政干渉であって違法である。ただし、正式な手続を経た場合には、事情が変わることもあるかもしれない。
仮に、正統政府軍(現アサド政権政府軍)と、他に革命軍A(アメリカが支援したい武装集団)、革命軍B(イスラム国)があるとしよう。


アメリカ式の屁理屈に従えば、革命軍Aがいいヤツで、他の政府軍と革命軍Bは悪者ということだ。なので、アメリカがテロ集団たる革命軍Aを支援するというわけである。
正統政府軍から見れば、アメリカの行為は「テロ支援国家」そのものであり、騒擾罪とか外患誘致罪なのが革命軍Aのテロ集団ということになる。アメリカの行うテロ支援は良い支援、他国がやれば違法行為と断罪される。


革命軍B(イスラム国)が報道で言うようにテロであり犯罪者集団ならば、正統政府軍がこれを掃討すべきであり、政府軍が外国軍に鎮圧の加勢を頼む=条約や協定締結なら、その行為は治安維持(叛乱や暴動鎮圧)であって戦争ではないし、集団的自衛権行使の対象とはなり得ない(=安倍政権の政府答弁はおかしい)。


アメリカがイスラム国への攻撃ができる、という理屈は、イスラム国の存在や行為が米国への戦争行為に他ならないから、というものであろう。アメリカがイスラム国を個別的自衛権行使でもって攻撃できるなら、イスラム国が交戦団体であることを承認しているということになり、その場合戦時国際法イスラム国にも適用される。

これまでのところ、イスラム国のどの行為がアメリカへの武力行使なのか、アメリカは一切明らかにしていない(どうせ答えられないから)。
アメリカの戦闘行為(空爆等)は組織的計画的であり、国家の命令により実施されているので、明らかに武力行使である。同時に、シリア・アラブ共和国への侵略に他ならず、違法な戦争である。


5)シリアにおける外国人の保護義務は誰にあるか

原則として、現行シリア政府、すなわちアサド政権政府軍による支配下であって、正統政府たるアサド政権に外国人の生命財産保護の義務がある。よって、日本政府が人質事件で最初にコンタクトを持つべきなのは、アサド政権ということになるわけである。しかし、実効支配の問題として、正統政府軍の統制下にないということになれば、実効支配している交戦団体に義務を負わせる必要性があるかもしれない。

そうすると、アメリカが支援しているであろう「革命軍A」がそれに当たるわけであり、人質事件の交渉窓口はアメリカが支援するテロ部隊=反政府武装集団でなければならないだろう。外国人保護義務は、「革命軍A」にあってしかるべき、ということだ。アメリカは日本に意地悪をして、支援先の「革命軍A」について何らの情報も与えなかった、と。本当にただのテロ集団でない「革命軍A」なんか存在しているのか、疑問だしな。革命軍の皮をかぶった、米軍か特殊部隊であっても不思議ではないから。


似たような例は、アメリカの南北戦争の時にもあった。
英仏は、南軍を交戦団体承認したはずであり、この場合、南部連合が支配している地域においては英仏人を保護する義務を南部連合(政府)が負う、ということだ。しかも英仏は中立国義務を果たしており、北軍を公然と攻撃しに行ったりはしなかったはずだろう。内戦や叛乱によって国内戦闘が生じても、外国軍がそこに軍事介入するというのは単なる内政干渉でしかない、ということ。


因みに、アメリカは満州国誕生が日本の軍事支援によってできた傀儡国家だから全て認めないとして、満州国内のテロ集団(=反日・反政府ゲリラ)を支援したことにより、日本は中国大陸での泥沼の戦争に引き摺り込まれたのではなかったか。満州国の国家承認が得らないどころか、逆に中国の主権に属すると言われたではないか。時代は変わっても、手法は大差なしということでは。


6)アメリカや有志連合の武力行使が認められるのか?

革命軍Aを正統政府とみなし、革命軍A政府との軍事協定締結により有志連合国軍が攻め込む、という図であろうか。
しかし「革命軍A政府」などどこにも存在してないし、非合法政府たる「革命軍A政府」を国家承認するのは違法であり、尚早の承認であろう。正統政府たるシリア・アラブ共和国政府の主権侵害は明白である。

もっとも、当初からの狙いは、革命軍Aなど存在せずとも、アサド政権への直接攻撃は国際法違反が目立ってしまってできないから、イスラム国への攻撃だ、と言えば隠れ蓑にできるという理由で今のシリア空爆が実施されているはずだろう。
どの道、違法行為の積み重ねでしかなく、多数国でやっちまえば、アメリカの悪行が目立たなくできる、連帯責任であるかのように装える、ということだろうね。