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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

オバマ外交がもたらした歴史的成果

残り任期の限られたオバマ大統領にとって、今の時期はあまり楽しいものではないだろう。大衆やメディアの関心が次期大統領選へと移ってゆくので、折角の苦心で手に入れたオバマ大統領の「果実」については、さほどの興味を持たれないかもしれない。オバマ大統領からすると、皆が正当に評価してくれないと愚痴をこぼしたい心境ではないだろうか。


そんな彼の不満を少しでも和らげる為に、拙ブログでは、もたらされた「果実」について考えてみようと思う。オバマ大統領の誕生を心から祝福した身としては、何か一つくらい、日々苦言を投げつけてきたお詫びをしたいと思っていたので。


オバマ大統領が歴史に名を刻むことになった最大の成果は、キューバとの国交回復であった。

これは歴史的快挙と申し上げておきたい。
ソ連なき後、中国共産党でさえ現状の姿となった時代において、共産革命のようなものの持つ意味合いが大きく変容した。世界の国々において共産主義体制というものは、事実上、衰退したと言えよう。中国共産党があるといっても、巨大な経済格差を抱えた、資本主義制度とのハイブリッドのようなものであろう。


故に、社会主義国であるキューバの脅威というものは、ほぼ消滅したと言ってもよいであろう。米国で社会主義国化する為に革命戦士たちが立ち上がる、などとは誰も思っていないから。それよりも、経済封鎖を解いて成長させることで、経済的自由度の高まり〜民主化の進展や自由化拡大に繋げる方が、合衆国にとってもキューバにとっても望ましいと考えるのは普通だろう。まさに双方にとってのウィンウィンとなる好ましい関係に戻れるのだ。


もう一つは、イランとの関係改善であろう。
イスラエルからは、火の出るような激しい反発があったが、少々の譲歩に過ぎないのだから、イスラエルは忍耐を知るべきであった。現在の米欧諸国にとって、経済制裁を解くことにより、シリア・イラク問題の早期改善へと繋げる方がよいというのが、常識的な判断ではないか。イランとの憂いを抱えたままでは、中東問題の解決の糸口は見え難くなるだけだろう。


そもそもイスラエルは図に乗りすぎたのだ。
国際社会からの罰が微塵もないのをいいことに、過剰なまでの軍事行動を繰り返した。醜悪な暴力を隠しだてすることもなく、一片の後悔さえ感じさせない攻撃的姿勢は、世界中から反発を招いた。こんなイスラエルの肩をいつまでも持ち続けられるほど、世界の国々の人々も、合衆国大統領も、無慈悲ではなかったということだ。


以前にも書いたが、イランが本当に国を守ろうと思うのであれば、核開発はマイナスにはなれど、プラスにはならない。世界から切り離され、「北朝鮮化」するだけだ。今後、合意事項遵守により、経済成長軌道に乗って行けるかどうか、国防力はそれにかかっているだろう。


オバマ大統領にとって、今回のTPP閣僚会合は具体的な成果として挙げるには至らなかったが、むしろ結果オーライと考えるべきである。もしTPPが妥結していたなら、汚点を残すことにはなれど、快挙とはなり得なかったことだろう。米国民にとって、唾棄すべき理不尽な通商政策として忌み嫌われることになっただろう。


そんなものより、オバマ大統領の功績は、将来MLBに偉大なキューバ出身選手が登場する方が、ずっと大きなものになるはずだ。オバマ大統領に乾杯!