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楽天銀行の口座凍結措置は杜撰ではないか?〜その3

楽天銀行の口座凍結に関する謎は、未だ解明されていない。あまりに理不尽というか不自然である。


今回は、追加情報を発見したので、補足しておきたい。


まず、最初の話はコレ。

http://thutmose.blog.jp/archives/44121238.html


記事中には、先頭に件数と被害額があり、H26年には激増している、というような印象を与えているわけである。一見すると、まあそうなのかな、と思わせるものである。が、実際にはそうではないのだ。
この示されたデータというのは、取引停止対象となる犯罪利用口座の件数や総額ではない。単なる「ネットバンキングによる不正送金の被害状況(件数、金額)」である。

すなわち、振込も引き出しも全くできなくなった口座、ということではない。逆に、口座を凍結されていれば、犯罪者の別口座に送金されずに済んだが、犯罪者が好き勝手に振込できる状態だったので、不正送金され被害に遭ったということ。
この件数は、楽天銀行等の口座凍結措置を受けた口座数とは、直接的には関係がない。


http://www.yomiuri.co.jp/science/goshinjyutsu/20150918-OYT8T50097.html

先日に、この記事が出ており、H27年分の数字も追加されている。グラフも数値も出典が同じものだ。具体的に見れば、例えばH26年の件数がどちらも合計1876件で一致している。


なので、最初の記事中での件数や被害金額というのは、楽天銀行の口座凍結の説明にはなっていない、ということ。
被害者側の口座凍結とか廃止は一般人の口座凍結と無関係。また、不正送金を受ける先の口座は犯罪者保有(か支配)のもので凍結されても当然なので騒ぎにならない。そこから一般人宛て(例えばオークション代金とか)に振込があるというのは、通常考え難い。中継口座として利用された場合を想定すると、犯人利用口座宛てに身に覚えのない振込記録が残るから、被害者となる立場であって、そういう人たちは「勝手に口座凍結された」とは騒がない。


ネットバンキングによる不正送金被害、これに係る口座という点から、楽天銀行の口座凍結(取引停止措置)の説明を導くことは困難である。一般人の取引停止措置を受けた口座が増加している、との説を補強する材料にもなっていない。



それから、今日の読売朝刊に出ていた事件だが、ネット配信されていないようだ。概要は、毎日と埼玉新聞に出ていたようだ。

http://mainichi.jp/shimen/news/20151002ddm041040196000c.html


マネーロンダリングを国内口座を用いて行っていた、というような詐欺事件らしい。読売記事ではもうちょっと詳しく出ているので、そちらから引用する。


(一部引用)

発表などによると、4人は共謀し、2013年12月、杉本容疑者が管理する法人名義の銀行口座に、マレーシアの熱帯魚養殖会社から振り込まれた現金586万円が詐欺事件の被害金と知りながら、銀行の問い合わせに、虚偽説明で犯罪収益であることを隠した疑い。
県警の捜査で、木下被告が管理する複数の口座には、杉本容疑者の口座など国内50口座から、計11億7000万円の入金があったことが確認された。県警が国際刑事警察機構ICPO)に照会したところ、これらは偽メールなどを使った詐欺事件で海外13か国の貿易会社などがだまし取られた被害金と判明。県警は木下被告が口座から引き出して資金洗浄した現金をリーダー格のオノイエ容疑者に渡したとみている。


この事件から分かることがある。

ア)木下被告(別詐欺事件で公判中)の複数口座に杉本容疑者の50口座から入金
イ)木下容疑者宛て金額は11.7億円
ウ)杉本容疑者に銀行から問い合わせがあったこと
エ)詐欺事件容疑者の口座に振込してた杉本容疑者の口座は生きていたこと
オ)杉本容疑者の50口座には海外13カ国企業からの入金だったこと


ア)から、詐欺事件被告の口座に振込が繰り返される相手側(杉本容疑者)口座は、逮捕直前まで凍結されてはいなかったのではないか。詐欺の犯罪収益を隠匿している可能性の高い被告口座に対し、度々入金をしている相手側口座はそうそう簡単には凍結されていない、ということでは。


イ)から、50口座の平均振込額は2000万円超であり、楽天銀行の口座凍結を受けた人たちのような少額ではない。回数を分割しているにせよ、一回当たり送金額は100万以上か少なくとも10万単位である可能性が高く、数万といった水準ではないだろう。
月々10万円を50口座から振込でも年間6000万円しかならず、12億円近くの被害額なら20年近くかかる。これを2年で行うなら、月100万円×50口座の振込で年額6億円となる。これくらいの高額な振込を繰り返す必要があったろう。


ウ)から、杉本容疑者の管理する口座について、銀行側から照会があったということであり、有無を言わせずいきなり口座凍結措置なんて取られていない。しかも、13年12月の件が逮捕容疑になっているので、当時から今まで普通に口座利用していたとしか思われない。今よりも取引停止件数が多かった時期にも関わらず、だ。また、エ)についても、被告が逮捕・送検・裁判となっていく過程ですら、杉本容疑者への捜査が及んだのはつい最近になってから、ということで、犯罪利用が疑われた(木下被告の)口座への送金履歴のある(杉本容疑者管理の)口座が直ちに凍結されていたとも思えない。


オ)から、海外からの入金が度々、ということのようであり、楽天銀行の口座凍結を食らった人たちがそうした海外からの振込が複数回ある、といった傾向は窺われていない。勿論、犯罪収益は国内のみもあるだろうけど、何が疑わしいと判断されるかが不明である。
それに、本事件では振込実行の相手側は「被害に遭った海外企業」であって、多額の振込をした相手が犯罪者だった、とかいう話ではないようである。つまり振込人が犯罪者のようで怪しいから、杉本容疑者の口座が疑われたのではない。
例えば、振込人であるオークション相手がどうも怪しいので、楽天銀行の口座が凍結される、というのはおかしい気がする。


いずれにせよ、楽天銀行が、顧客に対し、事前に確認事項を通知して説明をさせ、その上で凍結に踏み切るならまだ分かるが、何の連絡もなく突然に凍結というのは明らかにおかしい。
それができる場合とは、振り込め詐欺被害の犯罪者側銀行口座を停止させる場合であり、それ以外には、法的根拠は希薄であろう。