怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

ハロー、トランプ大統領

さて、破天荒なトランプ大統領がいよいよ動き出した。
当初から無理筋と思われていた、公約に掲げた政策を、本当に次々と打ち出してきた。大統領令で可能な政策を連発してきたのである。


今は入国拒否で世界中に混乱を招いているようだ。
もしも同じことを中国などがやろうものなら、国際会議から完全締め出し級のブーイングを浴びることだろう。アメリカ合衆国だから、まだどうにか持ちこたえていると言える。まさに、番長の本領発揮、のようである。


世界中の関心は、こうしたトランプ政権の行動が、冷静な計算に裏打ちされたものなのか、偶然任せで政治も行政も知らない素人集団の暴走なのか、ということであろう。

これは中々の難問である。
米国のマスコミでさえ、誰にも本当のところは分かっていないのだから。目ぼしい情報はどこからも来ない。これまでの大統領とはまるで違うのだ。


多分、トランプ大統領の側近連中は、政治経験に乏しい、どちらかと言えば素人衆であり、不慣れ故に勢い任せで突き進んでいる部分というのはあるのかもしれない。けれども、閣僚級や補佐官クラスを含めて、全員が本物の無知な素人政治をやろうと考えるとも思えない。

少なくとも、就任までの準備期間はそれなりにあったのであるから、想定されるシナリオというのは考えていたことだろう。それでもなお、敢えて今の状況を選択したんだ、ということなのである。

無茶を承知で?
何故なのだろう?

誰しも、そう考えるだろう。

どうして、わざわざ非難轟々となる状況を選んだのか?

そこが非常に興味深い部分なのだ。


普通の権力者なら、圧倒的に嫌われることを選びたがらない。不人気になれば、支持が得られず、失脚の虞を抱くからだ。
たとえトランプ大統領個人の気質が「野獣」系だとして、暴走機関車みたいにやるという場面であっても、普通の頭の回る側近連中がそれを野放しにしておこうと考えるのも不自然ではあるだろう。もしそうなら、短期間で政権は崩壊するだろうから。そんな道を選ぶような側近揃いとは思えない(もし、そのレベルなら選挙では生き残れなかっただろうから、だ)。


拙ブログの見解について、全くの個人的な意見ではあるが、少々書いてみたい。


一つは、トランプ大統領は嫌われ者だ、ということだ(笑)。支持率が低いのは周知の事実だ。逆に言えば、どうせ低いのだから、「嫌いな者たちのことは考えないことにする」という戦術なのではないか。
つまり、自分を支持してくれた半分の人たちの為に、まず政治をやろう、と。残りの嫌ってる人たちのことは、もっと後になってから考えればいい、と。どうせオバマ並みに圧倒的に好かれている人だって、結局は不評は避けられない、と。


なら、まずは「50%」をターゲットにした政治でも変わらないんじゃないか、と。


ある意味、合理的ではある。普通の政治家の発想は違うと思うけど(笑)。ただ、万遍なく支持を集めようとすると、政治は難しくなり言葉も鈍りがちである。こちらを立てればあちらが立たず、の図で、不満は必ず衝突するだろうから。しかも最初から支持が低いと、大抵の場合、後々には上昇してゆくしかないわけで、株式で言うなら株価の異様に低い株なら値下がり範囲が限定的である、みたいなものだ。最初に不人気なら、後は上がるだけ、と。

よって、当選の原動力となった数少ない支持層を失わない、ということを重視したのかもしれない。


もう一つは、「これはブラフではない、繰り返す、これはブラフではない」というものだ。公約で言いました、これを本当にやってしまいました、ということを実証したものである、ということ。

選挙で公言したのだから、これを実行したまで、というのは、発言は本気であるということを、知らしめることになったのだ。本気だぞ、と見せつけるというのは、勝負師の駆け引きであろう。本気であることを現実に示せば、相手に恐怖を与えることができる。すなわち、主導権を自らに大きく引き寄せることができる。


実際、これまでの処、トランプ大統領が次は何をやってくるか、と気を揉んでしまったり、心配しているのではないか?
報道だって、トランプは滅茶苦茶だ、トランプ大統領はとんでもないことをやる人間だと慌てふためき、恐怖におののいているのでは?毎日、トランプ大統領の動向を注視し、報道せざるを得ないような気持ちになっているのでは?

これは既に「策が当たったかもしれない」ということを示している。戦いの場面では、本気の相手には躊躇してしまうものだ。これをやってのけたトランプは、主導権を握ったということなのだよ。俺が歩み寄るのではない、お前がこちらに歩み寄れ、と。



そして三つ目は、ワシントン体制の破壊、であろうか。トランプ政権の手法は、過去の例とか常識は通用しないということを象徴的に示した。これこそ、腐敗と慣行でズブズブとなったワシントン政治との決別を意味したものである、ということなのだ。わけの分からないロビー軍団や、財界だのビジネスだの金づるだのの「根回し」とか、そういうものを一切無視するよ、というシグナルではないかと。


また、高級官僚たちの離脱が伝えられるが、彼らのような官僚たちに対しても「信用できるかどうか分からない」という意思表示であろうな、と。特に、CIAやNSAなんかの連中というのは、自分たちの利害で言ってくるかもしれず、誰が信頼できる人間か見極めるまでは、官僚たちの諫言は「当面無視する」ということなのかもしれない。それが本当なのかどうか、を確かめるには、現実を利用するのが一番だ、という、ある種の「試行錯誤」的やり方である。中国人ビジネスにも似ているかも。


官僚X 「これは違法ですよ」

→顧問や補佐官や閣僚ら
「お前が信用できる人間かどうか分からんから、助言は無視するわ」

→現実に政策としていきなり実行してしまう
→失敗部分が明らかになり、分かったことは改めて行けばいいよ


これが実行できるのは、

トランプ大統領の支持が低いから
・幹部の誰も失敗を恐れないから(出世とか手柄とか失脚に関心が薄い)
・走りながら直せばいいんじゃね?的な、現場・現実重視

なので、まずは走り出すこと、走ること、が重要であり、やる前からビビって恐れてばかりいては何も前進しないんだ、と。
兎に角、「飛ぶ前に見よ」じゃなくて「飛んでから考えるわ」方式に変更し、社会とダイレクトに反応が繋がるようにしたのが、トランプ政権なのだ。


日本みたいに、官僚集団とか与党幹部とか、中間の根回し連中が大勢いたり、マスコミにチョロチョロと情報を与えて…的なことと決別したのが、トランプ大統領の手法なのである。


商売で言えば、卸問屋などの中間業者を幾つも経て流通するというのが旧来型の政治、生産者と小売が直接繋がっているようなものがトランプ政権の政治形態ということになろうか。
結果がダイレクト過ぎるし、失敗のリスクも多いかもしれないが、中間に嘘つきの蔓延る余地はかなり減ることになるだろう。また、反対勢力なり不支持層に媚びないという点では、迎合的とは違うようだ。頑固を意図的に貫いている。


まずは、軽く挨拶代わりの「先制パンチ」が放たれた、といったところだろうか。周囲の切れ者が計算でここまでやったのだとすると、トランプ政権の術中に嵌っているだろう。

それとも偶然の産物なのであれば、側近の能力を買い被り過ぎということになろう。その場合、実力不足が露呈するのは時間の問題(当然、路線変更となり、少々大人しくする)ということになりそうだが、どうなるだろうか。