怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

マネタリーベースの名目GDP比

昨日の続きです。

マネタリーベース/名目GDPの比は、95年までは10%以下でしかなかったが、これがデフレ期間に突入するとともに増加していった。

白川総裁曰く、日銀は増やしているから批判は当たらない、とのことだが、根本問題としてデフレがあったから余計に数値が悪くなるということはあるのだ。


80〜97年の消費者物価指数の年平均は、約2.1%だった。もしも、これが実質成長率に上乗せされて名目GDPとなっていたなら、どういう結果だったのか、ということが問題意識なのだ。

97年の名目GDPが約515.6兆円。それ以降の名目成長率を、実質成長率+2%で算出した場合、どうなっていたか。



   名目GDP(兆円)  マネタリーベース/名目GDP(%)

00  551.1        12.3
02  576.2        16.5
04  623.8        17.9
06  674.1        13.4
08  709.4        13.0
10  719.6        14.4


こうなるので、そんなに言うほど多いわけじゃない。
量的緩和策の期間中でもMaxなのが04年で、他の期間においては全てこれ以下の割合しかない。つまり、デフレに陥らず、97年以前と同程度の物価上昇率(2%)があったならば、日本の名目GDPは700兆円を超える水準であった、ということである。

これを行わなかったのが、日銀だ。
物価安定の理解(笑)の中央値であるところの1%水準であってでさえ、これが達成されていれば、名目GDPリーマンショック後の2010年でさえ630兆円規模だったはずなのだ。

たしかに80年代のバブル崩壊以前に比べて、マネタリーベースの名目GDP比が上がっていることは確かではある。10%以下だったわけだから、それと比べれば多い、ということはあるだろう。

量的緩和策を打ち切るといって、マネーを絞った結果、脱出しかけたのに、逆戻りさせた、と解釈することは可能であろう。タイムラグをもって効果が現れるとするなら、06年以降の急激なマネタリーベースの減少は、リーマンショックと相まって、09年以降の持続的な下落傾向に拍車をかけた、ということである。

CPIの改訂で、例えば高校授業料無償化の影響があって下方修正されるとしても、治りかけた病を再び悪化させた、と言われたら、なんと弁解できるのであろうか。

離脱期は難しい、危険もあるから、気をつけろ、もっと時間をかけて減量せよ、と忠告しておいた(日銀の言い分)のに、大失敗をやってしまったんじゃないか。


そういうことだから、ド素人以下なのか、と罵りたくもなるわけですよ。傍目で見ていても、ああ、危なっかしいな、これじゃ悪くなるな、失敗しそうだな、と予測ができてしまうんだもの。

素人が見たって、そうなのに、どうして専門職の連中がそういうことに気付かないのか、自力で考えることができないのか、本当に不思議でならないわけですよ。それで、何年メシ食ってきてんだよ、と。そう言いたくもなるわけです。


ま、名目GDPを元の経路に戻すには、そう簡単ではなくなった、ということですわ。ホント、何遍も言いますが、クルーグマンが言った通り「4%を10年続けろ」とか、そういう水準が必要だ、ということを言ってるんです。