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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

北海道新幹線は本当に必要か?

本当によく分からないのが、この話である。小泉政権下では財政審がメリットが少なすぎる、というような理由で、予算を認めなかったはずだ。なので延伸という話にはならなかった。

ところが、である。コンクリートから人へ、と言って政権交代を果たした民主党では、この延伸事業が復活となったわけだ。財務省が野田財務大臣にこっそりと再開させていた、朝霞公務員宿舎みたいなものだ。
その朝霞公務員宿舎も、野田総理は国会答弁で建設を変更するつもりはない、と断言しておきながら、世間からの批判が強まった途端に前言撤回し、現地視察をして決めるという戯言を出してきた。そして、現地を見ただけで何故か「建設凍結」と言ったわけだ。「中止」ではなく「凍結」なのはおかしい、どうして中止ではないのかと批判されたら、仕舞には「有識者会議で検討の結果、中止」となったわけである。つまりは、当初の地点に戻っただけであり、バカをやっただけだ。

民主党政権野田総理財務省の言い分というのは、仕分けで見直せと言われていたものを敢えて「建設再開」としたわけだよ。それは「有識者会議のご意見」だという、人のせいにして再開したわけだろう?
有識者が建設と言うのだから、建設は妥当だ、と。
なのに、自分が建設のゴーサインを出しておきながら、建設現場を見て凍結と言い、有識者にご判断をいただくと中止、と言ったわけだよ。場当たり的な出鱈目を繰り返しているだけ。

もう一度整理しておくと、
小泉政権下でストップ(全体の見直し)
事業仕分けでも凍結
→野田財務大臣が密かに建設再開
野田総理が現地視察し凍結
有識者が建設中止の意見
で結局『中止』

二転三転どころじゃないわな。民主党政権のいい加減さが浮き彫りなわけだ。
これをよく覚えておくとよい。

北海道新幹線にも似たところがあるわけだ。有識者のご判断では、認められない、と。それで止まったわけである。しかし野田政権になってから、復活となったわけだが、その経緯も検討結果も謎のままである。国土交通省は、なんとこれから「事業の採算性」の検討に入った、ということらしい。再開を言う前に、まず詳細な検討結果を公表すべきなんじゃないのか。普通は事業に着手する前に、こうした検討を全て終わらせておくべきものだろう?まともな事業や運営計画とは思えんわ。

http://mainichi.jp/select/biz/news/20120128ddm008020154000c.html


当方は事業計画とか鉄道事業について全く無知であるので、疑問点が非常に多いわけです。きちんとした説明がなければ、簡単には理解できないんですよ。そういう疑問点について、いくつか書いてみる。


①時間の短縮効果はどれくらいか?

目玉らしいのがこれだ。道のHPにも紹介があるが、東京―札幌間で4時間を切る、というのが夢らしい(笑)。その前提が時速360km/hという、夢物語みたいな話らしい。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/skt/hituyousei/trainhituyou.htm

現状ではまず無理だわな。260km/hだと、新青森―札幌間の時間がどの程度短縮されるのであろうね?それが問題なのですよ。

とりあえず函館まで伸びるのは決まっているから、東京―新函館までがどれくらいなのだろうか?新青森までは、最速で3時間10分。しかし、青函トンネル問題があるので、函館までは時間がかかってしまう(トンネル内の安全性の問題があって、最高速度制限140km/hがあるらしい)。距離で約150kmなので、1時間にできたとしても、東京―新函館間は4時間10分かかることになる。函館駅までだと、もうちょっとかかってしまい、仮に20分で新函館〜函館のアクセスができたとしても、東京―函館間は4時間30分程度が最速ということになるだろう。
そうすると、現状の5時間30分くらいを1時間短縮できるかもしれないが、東京―札幌間を飛行機に対抗できるくらいまで短縮できるのかというと、かなり難しいと言わねばなるまい。

◎現状の最速
・札幌―函館間;3時間(特急)
・函館―新青森間;2時間20分(特急等)
新青森―東京間;3時間10分(新幹線)

◎札幌延伸後の最速
・札幌―新函館間;1時間20分
・新函館―東京間;4時間10分

夢の計画では3時間57分かもしれないが、堅い実現可能なプランを考えると、5時間30分くらい、ということなんじゃないですかね。途中止まる駅が増えれば、その分遅くなるわけですし。
青函トンネルがある限り、中々問題の解決は難しいのではないですか、という話だ。新函館から札幌まで在来線だとしても、ここの時間短縮は1時間30分くらいでしかないので、たとえ7時間10分だったもの(現状では9時間以上かかるらしい)が5時間30分になったとて、「いやまあ、早くなったね」とは思うかもしれないが、優先的に使いたいかと問われるとそれは無理っぽい話なんじゃないですかねえ。


現状で、例えばyahoo検索で新宿―札幌間を調べると、既に3時間50分台ゾロゾロ出てくるわけで。飛行機は圧倒的に有利、ということだ。
新幹線が死ぬ気で頑張って、夢の360km/h走行が仮に叶ったとしても、現状の「何もしてない状態」と同等ということにしかならない、という話である。


②開業予定と費用

これも本当にアホじゃないかと思うのだが、誘致を運動している連中の大半は生きてるうちに乗れるかどうか、なんじゃないですかね?
目安として、2037年くらいの開業を目指す、ということらしいです。そんときゃ、日本はどうなっていますかね?(笑)
まともな事業家が考えるものとは、到底思えない。採算事業として、その後も永続してゆくことを、本気で考えているのか。工事を頑張っても、どこぞのダムみたいに20年も30年も平気でかかる、というわけですか。その間の費用は、工事業者への「乳供給」みたいなものと何が違うと?

人口が減ってゆくという予測が出されているのに、25年後の利用客とかがそんなに見込めるのかね?これまでにも散々出鱈目を繰り返してきた地方空港の杜撰な計画と何が違うの?静岡空港はどうなった?優等生と褒められた中部空港でさえ、利用実績は計画通りだったのか?
出鱈目予測なんざ、屁の足しにもならんわ。もっと現実を見ろ。

整備計画の費用が、ざっと1兆5500億円くらい、ということらしいですが、それは税金と借金だろうに。新函館の建設費用は既に決まってしまっているのでしょうけれども、その先にだって1兆円以上の金をつぎ込むわけでしょう?しかも、自治体住人も負担するわけですよね?
新幹線(の駅)ができたからとて、田舎に多くの人たちが来るとは思えんな。


③他の方法はないのか?

25年で1兆5千億円使うとなれば、毎年600億円つぎ込む計算だ。この金を本当に新幹線に使うべきなのか?もっと別な使い道を考えるべきなんじゃないのか?

地方空港は苦しい、便数も少ない、と困っているんだろうよ。だったら、そういう方に毎年50億円でも100億円でも回せるとなれば、どうなると思う?
千歳は利用客数が多いわけだから、ここをハブとして地方空港に便数を確保するように補助すればいいのではないのか?
全道の空港経営を一括で民間委託に出す、千歳からの乗り継ぎ便をLCC誘致で増やす、空港使用料を補助金でタダ同然にする、等々の対策を講じれば、路線の価格を引き下げられるから利用促進になるのではないのか?
新幹線がたとえ札幌まで来たとしても、稚内や帯広や北見や釧路や根室なんかには「非常に不便、遠い」ことには変わりないんだぞ?
プロペラ機であっても、便数がそこそこ確保されてるとか、費用が高すぎないということであれば、利用はあると思う。そちらに金を回す方が、便利だし簡単だろうと思うが。

鉄道にしても、在来線の運行本数が少ないことや接続が悪いといったことがあるから、利用が促進されないという面がある。自家用車の利用が多い、ということもあるとは思うのだけれどもね。都市交通の鉄道網が未発達というままだからね。アメリカ型で、自家用車の方が便利という環境になってるから。
在来線でも、利用料が下がれば、多くの人がそちらを使うだろう。現状だと、高いんだな鉄道は。時間が少々かかってもいいから、自動車でいく、という人たちは多い。

④他にも懸念が

北海道新幹線というのは、路線の7割がトンネルっていうことらしいが、そんなに穴倉ばかりを走っていて、乗ってる人は楽しいと思うだろうか?
オレなら、利用したいとは思わんね。東海道新幹線みたいに、外の景色が楽しめるからこそ鉄道がいいのだろうに。真っ暗なトンネルばかりの景色の何がいいの?それを敢えて利用したいとは思えない。

それから、雪の問題についてだ。雪害というので、鉄道のダイヤが乱れるとか、運休になるといったことが度々あるはずだ。これについて、新幹線になると、在来線よりも運休が少なくできる、ということはあるのか?
道のHPによれば、飛行機の欠航率というのが0.30%、新幹線だと0.18%、ということで、僅かに0.12%分しか違わない。新幹線が止まる時は、在来線も飛行機も大体止まる、ということだろうか?
飛行機が雪に弱いというのがあるとしても、在来線が動いているならそちらを利用するだろう、大抵の場合。これが新幹線でなければならない理由というのは、あるのだろうか?飛行機が止まった、だったら在来線で、ということでいいじゃないですか?
飛行機が止まった、だったら新幹線で、ということの為に巨額費用を投じるべきか、という話だ。ほんの僅かのメリットを得る為の費用は、あまりに大きすぎでは?
それに除雪や保線の手間暇と費用が2倍とかになるかもしれないんだぞ?在来線と両方かかるわけだから。維持費がどの程度なのか、公表したのか?
大半がトンネルだから吹雪にも強いし除雪費用も大したかからない、ということなのかもしれないが、トンネルの維持管理費はどうなのか?本当に、負担できるほどの利用客があるのか?

いくら雪に強い、とか言っても、在来線程度の運休率であるなら、とりたてて新幹線である必要性はないだろうね。季節性のものだし。


いずれにせよ、新幹線を欲しがってる連中の多くは、今さえよければいい、とりあえず目先の工事費が入ってくればいい、みたいな、安易な考えなんじゃないかとしか思えないわけだが。それとも、駅建設や路線の用地買収なんかに絡んで、裏があったりはしないのか?、と勘繰りたくなるわけですわ。

丘珠空港をやたらと保持したがるのも解せないし、千歳に統一してハブとしたっていいんじゃないのか、としか思えないわけだが。千歳―札幌間はJRで約40分程度らしいのですが、運行本数を増やすとか直通を設けるといったことで工夫の余地はありそうなものですよね。丘珠から札幌中心部へのアクセスがそんなにいいわけでもないみたいですから。

よく分からない新幹線誘致運動をやるより、堅実かつ効果的方法を模索すべきだとしか思えない、ということですわ。
将来に渡って続く巨額費用の負担を、よく考えてみろ、と。在来線だって、地方の不採算路線が切られてきたという現実を忘れるな。