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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

続々・アメリカのGDP統計って何なの?

ここ最近、非常にかいつまんで言うと「米ドルはクソ通貨だろ!」というような記事を書いてきてしまいましたが、ちょっと誤解なんかもあったので、お詫びがてら記事を追加致します。たまたま偶然だったとは思いますけれど、ドル防衛の為にドル買いをしていた資金があったかのように、ドル円は80円を突破するドル高となったみたいですね。何の理由か判らないですが、まあ円安になってよかったですな(笑)。


まず、完璧に間違っていたこととして、「一人当たり名目GDP」と「一人当たり国民所得」を単純に比べていたことがありました。
具体的には、78年の名目GDPが10307ドルに対して、国民所得が8744ドルと過少じゃやないか、といったような記述をしてしまいました。どうせ誤魔化しなんじゃないの、的な意見を述べました。
これらは、当方の誤解でした。

まず、国民所得の計算方法が違う、ということがあります。金額は国民所得の方が小さいのはごく普通であり、日本の値でも同様の傾向となっていました。

78年の一人当たり名目GDP(平成2年基準)が177万8200円、一人当たり国民所得が145万7779円となっており、約82%程度しかありませんでした。ドル円の平均レートである210円だと、国民所得が約6938ドルとなって、記事中に述べた日本の数値6797ドルとほぼ近い(約2%のズレはある)ものとなっていました。

なので、アメリカの国民所得から見て、名目GDPの大きさが極端にヘンというようなことはない、と思います。なので、前の記事に書いたような、GDP統計の細工といったことはないと思います。
また、基準年が5年毎の変更というのも、日本におけるSNA基準の変更と同じであり、日本で出されたGDP統計の数値を見ると、例えば平成2年基準と平成7年や平成12年基準で出される数値は異なっているのが普通であり、数%のズレが生じるているようです。アメリカの統計値だけが酷いような物言いをしてしまいましたが、それは間違いでした。申し訳ございません。


国民所得の数値が名目GDPより小さくても、全くの無問題
・5年毎基準改定で算出されるGDPの大きさは、ズレるのは避けがたい

ということです。


間違った記述をしていたからといって、「米ドルはクソ通貨」という意見を取り下げる予定はございません。一応、年の為。


世界中の外貨準備高の推移(IMF出典)でみると、

  2000年  2兆706億ドル
  2005年  4兆4393億ドル
  2008年  7兆4583億ドル
  2010年  9兆6933億ドル

ということでした。
最近のものであると、10兆ドルを超えているようです。

http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPTK815571620120702

この記事によれば、2012年1Q時点ですと10兆4220億ドルということで、判明分のドル割合が62.2%ですので、それが全部の場合にも同程度であると仮定すれば、米ドルの占める額は6兆4825億ドルとなります。

この約6.5兆ドルという数字の大きさは、米国債の海外保有分と比べるとちょっと小さいのではないかと考えられます。多くの場合、外貨準備高の米ドルの大半が米国債として保有されているだろうと思われ、勿論現金通貨としてのドル(預金などの形をとるのでしょうか)というのもあるはずですが、外貨準備高の100%には行かないけれど何割かは米国債として存在するだろう、ということです。そして、現預金のドルを持つということであれば、国債はもっと少なくなるわけであるし、中には韓国みたいに米国債ではなく、グレードの低いドル建て債券に投資しちゃってることもあるだろうから、外貨準備に占める米ドルの額はもっと多いのではないかと。


また、保有外貨の中身が不明の約4兆7千億ドル分というのは、欧州なんかの先進国ではない(ほぼ途上国)であろうと思われ、どちらかと言えば、ユーロ保有国よりもドル保有割合が高いのではないか、と思います。ユーロを持つのは、多くが中身不明の国ではないユーロ圏の国々か、欧州圏の宗主国だったアフリカの旧植民地なんかに限られるのではないかと。
すると、判明分3兆5480億ドルと4兆7千億ドル中の例えば4兆ドル分が加わるとなれば、外貨準備高に占めるドルは7兆ドルを超えていても不思議ではない、ということである。


世界中の外貨準備高は、2000年の4倍にまで増加したわけだが、その増加した8兆ドルのうち、5兆ドル以上は米ドルの供給だったのではないか、ということだ。それは、アメリカのファイナンスを激化させることに一役買ってしまったわけだ。アメリカ国民も、アメリカ政府も、州政府や自治体も、アメリカの投資銀行や商業銀行なども、こぞって借金を何倍にも増やした、ということさ。その主な貸し手は、外貨準備を積み上げ続けてきた国々であり、米国債や米国株式などに投資してきた人々全部だった、ということ。

ドル紙幣を大量に供給する(=米国債を発行する)ことで、金を世界中から巻き上げてきたアメリカは、QE3で高々6000億ドルの買入をどうするのと言ってはいるが、その10倍もの金を既にばら撒いてきたようなものだ。


だから、当方のブログ記事に不適切な内容があったけれど、やっぱり「ドルはクソ通貨だろ!」は変更しませんよ、ということです。