怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

吉本佳生著『日本の景気は賃金が決める』とデフレのこと

たまたまブクマ経由で目にしたので。

http://www.tachibana-akira.com/2013/04/5776


吉本氏の本は全く読んでいません。当該本を売ってるのを知らないので。

ただ、書評とかタイトルからすると、最近記事で書いている「吉川洋」本の”賃金説”というのに近いのではないかと推測している。

まあ、山形浩生からすると吉川本が「トンデモ」本だという酷評なので、この吉本本(紛らわしいな笑)もそうしたトンデモ本に分類されてしまうのかもしれない。これは置いておく。


吉本氏は前作でも賃金説をいちはやく指摘していた、とのことだが、賃金要因についてはずっと以前から知られていたはずであろう。当方の記事中でもはるか昔から、度々指摘してきたことである。


06年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/c640ecd176eedbab5497ec396510067a



若干のお詫びも含めて、以下の記事も挙げておきたい。


07年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/51277b1bdb1b953a60445e7a6a6502be


記事中では、95年くらいまでの金融政策について、日銀批判や経済政策失敗の批判をしているわけであるが、これは妥当ではないかもしれない。


何故なら、97年ショックが意図されてもたらされたものであるなら、不可避であったから、だ。これは、政策とかいうレベルの問題ではないからだ。

闘争であり、隠れた―グローバル企業群やグリード経営者連中というまさに国際テロリストとも呼ぶべき存在を相手にした―戦争であったわけで、政策としてどうにかできていた、というものではないからである。

ゆえに、批判の対象と方向が間違っていた、と反省している。


また、追い貸しについてであるが、悪かったという結論を採用することはできない、というのが、拙ブログの見解である。

07年3月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/15501289a9bea55ce986c053c55b29ba



賃金低下をデフレの要因として指摘を続けてきたので、経済学研究者たちの中にも同じ意見を主張する人が登場してくれたことは、素直に喜びたい。



08年12月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/939ce58b9dab0ad38fd85ee348766e6c

09年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/362bf17fa7f3fff3a021cd547fba83f8

10年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d24920135c2830d7f0ec3c167a848b35

11年9月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/508d224329ac46de1490ce127e11a34b


かなりしつこく何度も言ってきたわけであるが、社会はそう簡単には変わって行かない(笑)。


企業が価格転嫁を避けてきた、ということも、以前に書いた。


06年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/dc1a1ab02f8b84677dd1c719df392dd5

06年2月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/403aa1d042866a57771ac33747e58320

09年2月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/2f53eb3f132e83d20e2a1c82d31e3395

12年5月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/732f8a620d8706d4b1dc0f6605d28b00


人件費がコストとして削られた結果、価格据え置き、輸入物価上昇でも消費者物価は上がらず、ということが起こったのだということ。それは交易損失を拡大させた。


それでもなお、輸出企業は円高だ、と言って日本国民を苦しめるわけである。


無駄を削減しろ、というのは、ある面では正しいのかもしれない。
が、生き難くする面も持ち合わせている。


喩えて言えば、掃除夫を雇うのはムダだ、一番暇なヤツが掃除すればいい、ということで、社長が便所掃除担当、というようなことである(笑)。

社会からありとあらゆるムダを削ぎ落とすことが、果たしてどうなのか。
以前にも書いたと思うが、機械にだって「アソビ」があるわけで、なけりゃ円滑には動かない。

常に余裕もなくギリギリで仕事をしていれば、新たな何かを生み出せるかどうか。
ムダをなくす為に、他人から仕事を奪うことになって、結果的に社会全体の成長が抑制されてしまう、ということなら、まさに合成の誤謬状態なのではないか、と。

子供がうまくできないからといって、親が何でも「貸してごらん」と全部奪ってやってしまえば、できる人は親だけになってしまい、子供は成長できない。そんなようなこと。


ムダな人材、ムダな経費、そうやって削りに削ってきた結果、みんなは幸せになれたのか?



当方のような経済素人にとっては、当方が考えつきそうなことを、何年もかかっても一定の答えを見い出せず、解決できずにいる専門家面した連中が不思議ですわな。