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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

AIIB問題から見える外務省の大失敗と闇

「AIIBに参加しなくてよかった」的な意見が、対米隷従を賞賛する人たちに存在するように見受けられる。勿論、世論を誘導したい側も、そういう意見が出るだろうね。


http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000047960.html

中国が設立を主導しているAIIB(アジアインフラ投資銀行)について、日本の出資金が2000億円程度になると政府が試算していたことが分かりました。先月までに参加表明しないと判断した根拠の一つとなりました。

 試算では、AIIBが発足当初に参加各国が出資する総額は100億ドル、1兆2000億円とされ、各国の分担をGDP国内総生産)などをもとに算出しました。その結果、日本の出資金は1000億円から2000億円になったということです。関係者によりますと、財源には税金が使われる可能性が高いうえに、いったん参加表明してから条件が合わずに離脱する場合、対中関係が悪化することも考えられるということです。この結果、先月、AIIBへの参加表明は当面しない方が良いという判断に至ったということです。

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何としてもアメリカさまの顔色を窺わないといけない連中は、参加すべきでないという意見しか言わないだろう。それが日本にとって利益となるのか?


日本の分担金の想定額が15億ドル規模ということだとして、これを使う場合にどうなのかを考えるのが普通であろう。議論の結果、使うべきでない、という結論ならば、その通りにすればよい。しかし、これまでのところ、金額の大きさだけが出されただけであり、報道レベルでの検討材料は極めて乏しい。TPP問題の時にはあれほど狂ったようにマスコミが「参加しなければならない」の大合唱で、経済団体も一様に参加だ参加だと喚いていたのに、今回に限っては全くの「寝耳に水」といった対応なのは何故なのか不思議ではある。
日本という国においては、政治だけでなく、マスコミも経済界もネット界隈でさえもが、アメリカさまのご意向に逆らえない(笑)、ということが分かっただけである。


まずは、金が数千億円もかかるんだ!、だからヤメだ、という意見について述べてみたい。


(1)IMFへの拠出金はどうなった?

リーマン・ショック後に、麻生政権が1000億ドルの拠出を申し出て日本の存在感をアピールした、ということがあった。その後にも、野田政権時代にやはり600億ドル拠出と言って、ドジョウを狙ったわけだ。

実際、H20年12月末とH26年12月末の数字で比較してみよう。

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/official_reserve_assets/2612.htm

             平成20年     平成26年
リザーブポジション     2659       11993
SDR             3033       18895

(12月末、単位 百万ドル)


6年間で増加した額は、合計で約252億ドルである。平均ドル円為替が1ドル100円だったとしても、2兆5千億円も使ったということ。外為特会の収入の明細が出てないので分からないのだが、これら出資した金額や貸付に回った額の利息収入がいくらなのか、誰か知っているなら教えて欲しい。

因みに、アメリカは拒否権を残す為に15%以上の投票権を維持しなければならない(85%以上の賛成がないと決定されないから)ので、Quotaは日本の約6.5%に対して米国約17%となっていることだろう。しかし、外貨準備の額で見れば、アメリカのSDRは減額されてきており(以前は500億ドル以上あったが今では約350億ドルくらいか)、リザーブポジションも減少していることだろう。
その上、債務上限の緊急措置でESFは取り崩されているはずだろうから、SDRは残っていても実際の換金性の高い金融資産にはなり得ないのでは。

ここでは米国の外貨準備高を詮議するものでないので、まあいい。


要するに、日本がIMFにつぎ込んでいる約310億ドルの資金からどのくらいの利益が生み出されているか、それを知りたいのだよ。そして、IMFにここ6年で新たに投入された252億ドルがもたらした利益額だ。AIIB投資額15億ドルの約17倍の資金量の、税金なんだろう?
25年度末時点で、約128億ドルの貸付金残高があるそうで、その利息収入状況について、知りたいわ。


(2)アジア開発銀行(ADB)の出資金

これもIMFに似てるが、日本はアメリカと同額の15.6%だったか、拠出割合があったはずだ。これも254億ドルの拠出割当額と現実払込済額の約13億ドル(正確な数字が探せなかったので推定額です)が使われているはずで、その収支を知りたいのだよ。資金規模の近さからみて、比較対照とされやすい存在だし、検討材料として数字を公開してほしいもんだね。


(3)ODAの損失額

反中の情報操作連中の言い分によくありがちなのが、中国に騙されて金だけ絞り取られる、みたいなものだ。日本のネトウヨ連中のバカは、情報操作しか能がないのだよ。

これを先導する外務省も同じくバカの集団であり、いや、むしろ悪賢いというべきだろうね。どうせ人の金(=税金)だと思っているから、何とも思っていないのさ。仮にAIIBへの拠出が1000〜2000億円となるとして、全額が焦げ付いて純損失となるのか?
中国以外の参加49カ国―G7諸国もG20諸国も当然多数参加している―は、一様に中国1国に簡単に騙され、ペテンにかけられて金を失う、と?
残り全部の国々の政府や金融担当者たちの方が、日本のマヌケネトウヨ連中よりも、はるかに賢く判断力もあると思うが。


ネトウヨ諸君の親玉外務省の恥部をご紹介しておこう。
金をまるまる損失した例というのは、例えば民主党の野田政権時代に、ミャンマーへの債権放棄3000億円、というのがあったろう?これは丸損だろうに。やったのは、外務省の連中ではないか。
これも、政治決断だった、とか、自民党ならしなかった、とか言うかもしれない。


ならば、ほぼ自民党が決定してきたであろう2003〜2010年度のODA損失額はいくらだろうか?相手国が返済義務を負っていた、日本政府が持つ債権を放棄した額は6965億円だった。ODA関連分だけで、だ。これ以外にも非ODA債権も含めれば、約2倍に膨れ上がる。
単純に、外務省がやってきたODAのうち、税金が丸損になったのが約7000億円、ということだ。ミャンマー分も含めれば、1兆円がパアになったんじゃないか。どうしてそれを大事にしない?何故大騒ぎしない?

AIIBの推測される出資金15億ドル程度について、まだ見ぬ損失を恐れるくせに、これの何倍も損失を出してきた外務省のODAを大問題としないのは何故だ?やっぱり、バカだからですか?


バングラディッシュ1国に対して、03年から08年の6年間、毎年債権放棄を実施した結果、ODA関連損失額は約1544億円だった。AIIBに支出予定額とほぼ同額を自民党政権下で、丸損にしたんじゃないか。


イラクやナイジェリアといった産油国への債権放棄額も数千億円規模で行われた。この2カ国で約1兆円の公的債権放棄が行われたんだよ。


これは、どういうことが考えられるか?

・日本から金を引っ張る=外務省がODA実施、
      歩調を合わせてJICAやJBICなんかが民間企業などにも投資を勧める
       ↓
・投資を受けた連中は石油掘削関連の投資がしやすくなる
       ↓       
・ころ合いを見て内戦や動乱で不安定化
       ↓
・投資国は債権放棄を迫られる=日本の資金は丸損
       ↓
・石油関連施設などを手に入れた連中への利益供与・金の付け替え


都合の良い財布代わり、ということだな。
日本に金を出させて、その金は形を変えた資金移転というか利益供与に他ならないわけで。債権を放棄させて、動乱後に丸儲けだった連中がいた、ということになるわな。


ミャンマーバングラディッシュというのは産油国ということではないが、次の安価な労働力供給国として利用する為に、日本に債権放棄させることの意味は出てくるだろうね。また、安倍政権になってから、安保理非常任理事国でアジア枠を金で譲ってもらったり、というのに使われる、と。債権放棄したばっかりなのに、またしても6000億円も投資するという話は通常では考えられないから。

誰かの為にやってる、ということだ。
誰かというのは、ビジネスで潤う連中、と。


外務省が金の話を持ち出してくるのは意味があるのだ。ODA損失が膨れ上がるのはバカだから、ではなく、「誰かの為」という役割をしっかりやるから、債権放棄が莫大な額となるのだよ。
それか、税金が減って外国(の誰か)への利益付け替えができなくなる、という場合にも、予算が足りないと騒ぐわけだ。

しかし、AIIBはそういう話のタネではないから。なので、見向きもしないわけで。アメリカさまは参加するなと念押しをしてくるし。日本国民の為にやってるのではないのさ。


だから、増税した途端に気前よく世界中に金をばら撒く、と。イスラエルやエジプト歴訪時の金の話がまさにそれ。


(4)AIIB参加の意義とは

参加するメリットが分からない、という愚か者たちは、アジアでの日本の立場を考えたことがないのだろう。

具体的に、分かるように、以下の条件で試してみては?

・「ASEAN+6」の16カ国中、参加してない国はどこか?
G20の構成国うち、参加していない国はどこか?
・G8のうち、参加していない国はどこか?
OECDのうち、参加国はどれくらいあるか?


AIIBの役割として期待されるのは、ドル基軸通貨体制ということの備え、であろうか。例えばIMFのSDRだって最初からあったわけではない。第二次大戦後の為替や通貨というのは、端的に言えば米国の1国体制、ということだったわけで。

国際復興開発銀行、世銀、IMFといった枠組みも、米国主導というか米国という1カ国の巨人が支配する体制だったんでしょう。その他大勢の弱小国は通貨体制には大した影響力など持ってなかった。世界は「金‐ドル」中心主義とも呼ぶべき体制だった。
しかし今では、ドルの凋落は著しい。ドル通貨の大量供給によって、減価が一層進んだはず。ドルの地位低下は今後も継続するであろう、と考えれば、英ポンドが辿った歴史に似ていて、重要度は低下するであろうと予想するのは当然だ。


米国債務を、これからもずっと支えられると思うか?
英国はIMFからの借金を返済するのに、四苦八苦していたんじゃなかったか?
あのポンド諸国を多数従えていた戦勝国大英帝国が、だぞ?


日本円だって、今よりもずっとマイナーなローカル通貨になってゆくかもしれない。それに伴って、中国元は国際的重要度を増す可能性がある。となれば、ドル体制以外の、バックアップを考えるのはごく当たり前のことではないのか。
米国の政治的地位低下、という面だけではなく、ドルという通貨に対する信頼性は低下してきている、ということだ。中国がインチキくさいとしても、経済規模の大きさは隠しようがない。
かつてソ連IMF構想から外れたのと違い、中国は世界経済にガッチリ組み込まれている。今後、内需増大の国へと変化してゆく過程で、GDPウェイトがそう簡単には縮小しないだろう。多少の貿易(輸出)の減速があったにせよ、人口規模は簡単には縮小しないし、高齢化も一気に来るが消費がいきなり消滅するわけではない。


中国の通貨は、これまでよりも国際的役割が拡大するであろう、というのがごく普通の考え方なのではないか。そのトレンドが如実に顕われたのが、今回のAIIB参加問題であろう、と考えている。


また、資金拠出はある種の投資なのであるから、失敗の可能性はあるかもしれないが、参加国の顔ぶれから見て、日本だけが大損失を蒙る可能性はほぼない、と考えて当然だろう。
15億ドル程度の投資(出資)なら、過去の例から見て、何ら高額でもないわ。