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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

日本の官僚は非関税障壁そのもの

TPPに関連して、米国側から出された要望を先日紹介したが、あれを読んでいて共感できる部分もいくつかあった。

それは、日本で何か事業を行おうとする時には、規制がどう関わってくるのかが総合的に分かり難い、ということがある。

例えば、新規事業として飲食店を出そうと計画する場合、その規制官庁がどこで、どういう法令に規制され、どういう手続きが必要で、そういう書類を用意すべきか、といったことが、「一目瞭然」には分かり難くできている、ということであろうと思う。日本人が日本国内で新規事業に取り掛かろうとするだけで、そうした困難があると感じてしまうわけで、これが外国資本ということになると、もっと分からない、ということはあるだろう。

それに、事業を始めて後、「実は、こちらのこんな法令もあって、それで縛られています」とか、事後的に言われたり、判明するような場合もあるので、「だったら、最初からそう言ってくれや」という気持ちになるであろうことは、想像できるわけである。

最近、何故かシティバンク銀行に行政指導だったか、行政処分だったかが行われたという報道があったやに記憶しているが、ああいうのも「前には、そう言ってなかったじゃないか」的な部分があったりすると、恣意的に規制(法令)の適用を行っているのではないか、という懸念が払拭できなくなる、ということはあるだろう。

なので、米国側が要望で出した、デュープロセスやパブリック・コメントなどの問題点の指摘は妥当な部分はある、と共感できるものではあった。外国人から見て大きな問題という以前に、日本のシステム的な問題がはっきり存在していると言える。


行政手続法ができて、昔みたいに、許認可権を盾に取って、嫌がらせみたいな「認可をしない」とか、「いつまでも店晒しで結果を出さない」というようなことはできなくなった。しかし、それに類することは「未だに行われている」というのが、霞が関官僚の実態である。

法令適用事前確認手続というのが行われるようになっているが、あれは全ての法令をカバーしているわけではない。情報公開法についても、現実に知りたいことを知る為には不十分であり、限りがあるわけである。これら、回答に法的義務を負うものについては、省庁側としてはしぶしぶではあろうとも、答えなければならないということになるわけだが、それらから漏れているものについては答えなくてもいい、ということを貫き通すことができてしまうのである。

法令の解釈や適用になるか否か、ということは、現実社会では大きな問題となることは少なくない。
例えば、JAL年金問題の時に、減額できるかどうか、という論点が問題になった時があったが、あれも「減額できない」とする見解が当初報道され続けていたわけである。融資する銀行側が融資条件を検討したり、融資実行をするかどうかを考える時には、企業の負担額が変わることになるのだから、重要な論点となるわけである。これを「事前に法令解釈を教えてほしい」ということは自然であろう。

或いは、「原賠法3条但書」問題というのがあったが、あれも法解釈如何によって、事態は大きく変わるわけである。銀行や保険会社などが「法令適用になりますか、どうですか」ということを返答しない、ということになると、非常に困るわけである。恐らく、法令適用事前確認手続の所管法令には入っているのではないか(調べてないので、判りませんが)と思うので、実際には所定の手続きさえ行えば回答は得られるものと思われる。得られら回答に基づいて何らかの事業を行い、事後的に「やっぱり間違いでした、法令は適用されません」というようなことがあれば、それによって生じた損害は、国が賠償責任を負うべきである、という考え方は、同意できるのである。省庁がそのように答えたからだ、という一次的な責任があると思うからである。


しかし、こうした法的根拠のある手続きに乗らない法令というのも、実際に存在するわけである。事業者から、法令解釈について、適用になるかどうか等を尋ねても、回答しない官僚は存在するわけである。これがマスコミなどの「特権的」地位にある方々であれば回答するのかもしれないが、一般の事業者であると全く無視して答えない、ということが実際に行われるのである。まさに、権限の濫用、傲慢官僚の最たるものだ。

厚生労働省がそういう省庁であるということは、よく分かりました。
ある行為Aを行った場合、法令Bの罰則が適用されるかどうか、といった論点は、そう特別なものとは思われないのだが、全く答えないわけである。それとも、行為Cが行政処分に該当するか否か、といったこともまるで答えない。事業者が行う質問なのであるから、そう難しいものであるはずもないのに、何カ月経っても答えない。

さすがに長期間に渡る回答拒否であるので、総務省の相談先に相談すると、厚生労働省には「指揮命令ができないので、答えさせられない」ということになる。全くの無力だ。何の為の相談窓口なのかと思う。総務省が「答えて下さいね」と担当部署に言うだけで、厚生労働省側は「ハイハイ、わかりました」とは言うものの、答える気などないのである。だから、答えさせることができない。

仕方なく、再び厚生労働省に問い合わせると、「全国から質問が多数来るので答えるのが困難である」と言い、厚生労働省の行政相談室に言え、とたらい回しにされるわけである。行政相談室から「回答するように」と担当部署に催促しても、担当者に答えさせられるよう命令できるわけではないから、結局回答は得られない、ということになるだけなのである。

全国から来る質問の数なんて、微々たるもので、月に30〜40件しかないのなら、一日当たりで2件くらいしかない。担当部署の人員とか、特定の担当者だけが回答するのか分からないが、たとえ一人であったとしても、数分で答えられる程度のことを、どういうわけだか回答しないのである。回答できないなら、相談なんか受けるな、とは思うわな。
こういうことを、事業者に対して長年行ってきているのが霞が関官僚なのだろうから、海外の新規参入を希望する事業者が「非関税障壁だ」と怒りたくなる気持ちは、十分理解できますね、ということである。

早い話が、この「回答しない霞が関官僚」に回答を作成するよう命じられるのは、上司だけである、ということだ。それも、厚生労働省内の、上司、だ。一般国民とか事業者たちにとっては、そんな上司に接点などないわけであるから、どうすることもできないわけである。多分、上司は事業者や国民から来る質問とか確認手続きなんか見ないだろうから、担当者がきちんと答えているかどうかをチェックすることもできない。
かといって、総務省の行政チェック機能も、基本的には無力である、ということに過ぎないので、国民には手段はないということになる。もしあるとすれば、
政治家に直訴→政治家から厚生労働大臣副大臣政務官などの役職者に伝達→官僚に命令→担当部署の末端に命令
みたいな、気の遠くなるような伝言ゲームみたいなことが達成できるといったことがなければ、「回答得る」という簡単なことさえできない、ということだ。


法令解釈の権限が省庁にある限り、こうした「回答拒否」官僚をどうにかできる仕組みがなければ、いつまで経っても「回答を得られない」という事態が継続するということである。
手続の透明化と海外から言われるのはワケがあるということであり、TPPには無関係に改めるべきである。