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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

医薬品のネット販売に関する最高裁判決

高裁判決が確定した、という報道があった。

これについて、雑感を述べておきたい。
(現在調査中にて、法文の詳細などについては、別に記事で書くつもりです)

思うのは、ネット販売という「販売方法」が改正薬事法の条文上では禁止されているものとは読めない、ということなのだろうな、と。これを根拠法とする下位に位置する省令(施行規則)によって、つまりは「親となる法律」=薬事法で禁止されていないものを子であるところの省令によって禁止するのは、省令制定側の「行き過ぎである」ということであろう。

一理ある意見だと思うが、旧薬事法の枠組みにおいてであっても、本来的には「店舗において」販売・授与すべし、という条文は、郵便等販売を合法と解釈するのはやや無理がある、ということである。
厚生省時代から通販を認めてきたとする見解は、端的に言えば「こじつけ」的である。これは「違法な貸金業者」(=無登録業者、違法金利業者など)が横行しているようなので、地方財務局の指導徹底をすべし、という局長通知が存在しているからといって、財務(大蔵)省は「違法貸金業者」の存在を肯定(公的に認可)している、などといった見解は生じないとしか思えないのと同じだ、ということである。

全部を完全に取り締まってこなかったのだから、財務省は元々利息制限法の上限を超える金利を条文上解釈において公的に認めてきた、と主張するのは、整合性があるとは到底思われない。

こうした論点は、小泉政権下での「規制改革会議」でも出されていた論点であり、当時(平成15年当時)から一歩も出ていない、ということだ。規制緩和の推進は、何故求められたか、ということの背景としては、当然に米国サイドの意思反映ということがあるはずだろう。

それは、米国を中心とする製薬業界(全米製薬業団体のようなヤツね)のロビー活動の賜物だろう、ということである。このことは、TPP問題ともつながるものであり、規制庁の規制権限を弱体化させるという点においても、同じような意味を持つわけである。

薬品販売を推進したい製薬企業の意向を反映させ、なおかつ日本人に薬を簡便に売りつけたい人々にとっては、ネット販売というのは非常に儲かるシステムであるはずだ、ということである。

東京高裁判決も、最高裁判決も、基本的にはこうした政治的な思惑を達成させる為の一助となっていることは確かであり、意図しているのか或いは意図せざるものなのかは不明であるが、「規制緩和は善」とする風潮を助長することになるであろう。これは業界団体という既得権集団の影響力排除を狙ったものであるはずで、TPPと親和的政策推進を意味するということである。

ネット販売が全て悪とは言わないまでも、ネット販売拡大が必ずしもよい結果となるかどうかは不明である。いつでもどこでも借りられる、という「090サラ金」みたいなもので、便利がよいからといって略奪的融資を拡大させたことがどのような結果を招いたのかということをよく考えてみるべきであろう。