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九州電力が原発再稼働を焦るワケ

九州電力が新たな発電設備の接続を一時中断する、ということにしたようだ。


http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/107779


こちらも。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1409/25/news037.html



記事にある通り、水力、地熱、バイオマスなども中断というのは、疑問だ。比較的安定しているはずなのだから、ベース電源として有用だろう。

太陽光発電に偏りすぎだ、という意見は専門家じゃないと詳しくは分からないかもしれない。ただ、ピーク時電源としての活用方法は十分あるように思える。


http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/company/data_book/data_book_2013_02_131114_3.pdf



そもそも年間の最大電力需要は7〜8月の日中に起こるのであり、大体は13〜15時くらいがピークのことが多い。そうすると、理屈の上では太陽光発電はそのピーク時電源として効果的と言える。

設備容量が1700万kWの太陽光発電ということらしいので、これでざっくりと考えてみる。

晴天時の発電効率が約80%程度らしいので、ピーク期の発電を60%、昼間平均で40%として考えてみよう。

ピーク期:1020万kW
平均:680万kW

曇天や雨天時には、需要電力も減る傾向と考えられ(基本的には気温に左右されることが多いと思われるので)、発電量も減るが需要も減るということは調節性として考えると問題は少ないのでは。


30%発電量だとしても510万kWの電源ということになるので、有効利用は十分可能なのでは。その分、火力発電の燃料を抑制できることになるわけだし。


ここ数年の需要量から、最大需要を1600万kWと見れば、ピーク時電源としての太陽光で500〜700万kW確保できる、ということを意味する。残りの900〜1100万kWを他の電源でカバーすればよい、ということになるのでは。


風力発電は九州の場合潜在発電量が多いそうなので、1000万kWの設備容量で平均20%発電だと200万kWがカバーできる。他に、水力、地熱、バイオマスで100万kWが追加できれば、これら再生可能エネルギーで300万kWの電源が確保できることとなる。


そうすると、
  太陽光 500〜700万kW+再生可能E 300万kW

となるので、残り600万〜800万kWということになる。
九電の自社水力で90万kW、他社受電で160万kW、揚水150万kWだとすると、残りは200万〜400万kWの自社火力があればよい、ということになる。


太陽光発電のバックアップ用として、300万kWの設備容量の火力発電をスタンバイとしても、現有の設備容量1068万kWで十分まかなえる、ということだ。このうち旧式と定期点検を差し引いても容量不足というのはほぼ想定できない。


夜間用及びベース用として、石炭火力+LNG(コンバインド)を確保し、水力とベース向きの地熱+バイオマス+多数の風力で600〜800万kWを確保することは、そう困難であるとは思われない。これまでのところ、風力発電の設備容量が太陽光に比べて少ないので、今後は風力発電に注力するように行けば、再生可能エネルギー比率を引き上げることができるだろう。

「燃料費が高騰して大変だ、火力発電所は点検もままならない稼働率オーバーだ」といった批判に対しては、ピーク時電源としての太陽光発電を有効活用してもらうようにすればいいだけである。

それでは、晴天続きで余ってしまった場合にはどうしたらよいか?
これまでは夜間電力で揚水発電に回していたものが、昼間に回せるようになる、ということである。揚水は運転と停止の調節性が非常に速いらしいので、流さない時には充電(というか水を汲み上げ、だな)できるということを意味するから。

全部の水を汲み上げてしまって、それでも太陽光発電で余るということなら、火力の出力を落とすか、広域調節でもって中国電力関西電力に安く融通すればいいだけでは。関電は元から、原発がなければ大変だ大変だ、と大騒ぎしていて、中部や北陸から分けてもらってどうにか持たせてる、とか言っていたんだから、ピーク時(真夏の昼間)に電力が余ってるから安く分けますよ、と言われりゃ、渡りに船ではないか(笑)。


こういう状況になった場合、九電の売上高は大幅に落ち込み、送電管理だけではやっていけないかもしれない。が、バックアップ用火力は必ず用意しておく必要があるので、自由化された各電力事業者が「待機発電設備」として費用を分担し、太陽光の発電量が落ちた際には、逆に九電から買うといった方式にすればいいのである。
例えばA社・B社・C社の太陽光発電の供給力として50万kWとカウントする場合、見合いのバックアップ電源(火力で40万kWとか)をセットで用意するという意味合いである。そうすると、50万kWは常に電源として計算できる、ということである。これを超過して発電できた場合には、太陽光発電会社はその余剰分を売れる。
太陽光の不足分は九電の火力で発電し、これを買う方式とすればいい。曇天時に買い需要が増加するなら、九電は需給による価格変動制をとればいいのだし。


で、このままいけば、原発の必要性そのものがなくなってしまう、ということだ。調節性が悪いし、金もかかるし、原発作業員の確保は福島の方に人手が取られてるから、今後ますます厳しいし、ざっくりの計算でも必要がないということが明確にになってしまうから。もし、九電管内で太陽光発電がうまく回るようになってしまえば、全国にそのモデルが波及してしまうかもしれない、と。


それを恐れているのだよ、原子力ムラの面々は。


だから、何が何でも先に再稼働をさせて、必要なんだ、ということを印象づけたいということなのさ。


九電は、最も需給が厳しい、ピンチだ、とこれまで散々言ってきたのに、なんでピーク時電源で最も有効な太陽光発電をもっと利用しないんだよ、バカだな、ということが明らかになってしまった、ということだな。