怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

経団連にとってのTPP

TPP問題は、非常に根深いものがある。
一言で言うとすれば、経団連の対米恐怖症、「US phobia」の表象のようなものである。すなわち、米国側からの要求に対して、これに応えることが「番長のイジメ」を回避できる方法であると考えている、ということである。まあ、ジャイアン的な立場だと、腕っ節が強いわけだから、これを恐れるのも当然かもしれない。そういう心性に凝り固まっていて、他の方法を考えることができない、ということでもある。

しかも、大人しく米国様のいうことを聞いてさえいれば、恩恵に預かれる、特定のサークルメンバーとして活躍の場を与えられる、金や成功もそれなりに入ってくるとなれば、これを選ぶ人間がいても不思議ではないだろう。あくまで当方の脳内妄想であるから、現実世界がそうなっているかどうかは、全く知らないわけだが。

本題に入ろう。

そもそもは、TPPなんかではなく、2国間問題であったはずなのである。2009年時点では、既に存在してたものだ。

>日米EPAに関する経団連アメリカ委員会・在日米国商工会議所(ACCJ)の共同声明
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/066.html


これに関しては、米国サイドの作戦変更となった可能性が高いと考える。
日米の2国間協定であると、日米関係で「騒ぐ奴らがいる」からではないかな(笑)。米国が日本イジメをやっている、ということが、あからさま過ぎるから、ということだったのでは。
これを多国間協定ということにするなら、「米国は日本だけに求めているわけではない」という言い訳ができるし、日本への風当たりの強さを緩和する(ように見せかける)ことが可能だからね。

リーマンショック以後、米国の発言力の弱まりというのと、米国から離れようとする鳩山政権などの誕生などがあって、あまりに直接的な要求に結びつく日米EPAというような形を避けるようになった、ということだ。日米共同声明くらいでさえ、あんなに騒動になったくらいですから、その上もっとということになれば、「反米感情」の高揚が避けがたいという判断は働くであろう、と。

経団連内部には、親米派勢力というのがあって、いくらでも推進してくれる代理人がいるわけだ。それに加えて、米国様お得意の「イジメ」というのがあるわけだ。
そのよい例が、トヨタ・バッシングというのがあった。急加速問題というのを殊更取り上げると、企業はどのように追い詰められるか、というのを、見せしめとして見せた、ということである。

最近でも、価格カルテルダンピング疑惑等々のいくつかの手段は残されているので、日本企業への締め付けというのはいくらでも可能。
米国には、基本的に保護主義的制度が多数あって、例えば公共事業の受注なんかでは、米国産の材料を一定以上使え、とか、諸々の「保護主義的優遇措置」があるわけである。米国さまが、何でもかんでも「自由競争」かというと、全然そうじゃない。口では、他人に要求するが、自分の中身としては、規制で雁字搦めとか、国内企業優遇といったものが多数ある。企業買収にしても、ユノカルの例で見た通り、政府が簡単に阻止できる制度を持っているのだ。
日本は騙されている、というだけ。

そういった保護主義的制度をなくしてもらえて、日本企業がイジメから解放されるであろう、みたいな、甘い期待を抱いているのだとすると、それは違うわな。
ACCJといえば、貸金業の上限金利問題の時に、世話になったな。ロビーを積極的にやってくれて、名前を知ることができましたわ。サブプライム層の貸出を増やしましょう、ということで、金融危機が起きる程にやってくれちゃったわけですね。そうすると、米国様の本国ではウォール街デモまで起こって、混乱が続く、と。日本でそんなアホな真似をせんで良かったな、ということですわな。ACCJの言い分が本当に正しかったのなら、サブプライムローン問題なんて、起こらなかったんじゃないですか?(笑)
金利が下がればサブプライム層が借りられなくなる、と主張していたACCJは、米国のサブプライム層にジャンジャン貸してやればいいですよ。貸し倒れは金利じゃないんでしょう?
金利上昇条項で高金利になった途端に、デフォルト率がウナギ登りとは、大笑い。

これも、まあいい。


共同声明の中身を見ると、なるほどな、と思う部分もあるね。
一部を引用してみる。

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・特許システムのハーモナイゼーションの促進
・政府調達のさらなる自由化推進
・日本のAEO制度と米国のC-TPATの相互承認を含むサプライチェーンにおける安全確保と物流の円滑化・効率化の両立
・ビザ・領事事項の円滑化、簡素化
・環境技術における日米産業協力の強化
・米国における連邦と州の規制、日本における国と地方の規制のハーモナイゼーション促進
・日米政府間のインターネット・エコノミーの推進に関する対話の開始

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先日、米国の特許問題に関して、先願主義への移行ということが伝えられたわけだが、これは米国サイドのシグナルの一種と見てよいだろう。経団連への暗黙のプレッシャーということだ。「USは先に結果を出したぞ」という意味だな。
カルテルの連続摘発もそう。

お前らが結果を出す番だぞ、と。それで、必死にTPPを連呼している、というわけだ。米国様のご威光で恩恵を受けている連中というのは、慌てるわけである。自分たちの力を示せないとなれば、立場が危うくなるかもしれないから、だ。米国様にとって、使えない奴らは簡単に「用済み」として、捨てられるだろうから。なので、自分たちの力を誇示する為ということと、ご機嫌とりの為には、TPPが必要ということになっているわけさ。


TPPの中身と目的というのは、平たく言えば
 
「Americanization」計画
の一端である、ということだな。

以下に、再び共同声明より引用しておこう。

我々は、日米EPAを「FTAプラス」の協定として、WTOルールに基づき、「実質的に全ての貿易」及び「実質的に全てのサービス分野」を含むものと考える。日米EPAでは、関税に加え、法規制とその透明性、物流、基準・認証、商法、投資ルール、資本・為替市場、農業、アンチ・ダンピングなどの貿易救済措置、競争政策、人的資源とヒトの移動、知的財産権、セキュア・トレードなどを含む非関税措置が対象になる。
我々は、日米EPA交渉は、今後、同様の志を持つ国々の間で検討される広域地域協定のモデルともなり、多国間交渉の進展にもはずみをつけるものとなると考える。


アメリカと同等にしろ、ということの意味を考えるのが先決。
TPPの意義を再考してみるべきだろう。