怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

続・玉井克哉東大教授のTPP推進論は間違い

またしても、玉井さんですか。
本当に懲りませんね。彼はツイッターで次のように述べている。


https://twitter.com/tamai1961/status/308736868260929537



でも、医薬品の特許期間延長に反対って、どこまで不勉強なの、って感じ。本邦は1985年に実施済みですよ。



カナダと組んで反対論にくみし、リンケージとか著作権で応援してもらう、というなら、わかるけどね。それでこそ多国間交渉。

頑迷な反対派のおかげで、そういう交渉の余地がほとんどなくなったのは、かえすがえす残念ですな。米国や欧州とのFTA抜きで日本がやっていけるはずがない。



で、そういう人たちは「やっぱり参加したのが間違いだった」とか言うわけでしょう。だが、米国とも欧州とも東南アジアともFTAを締結せずに済むはずがない。なら、いちばん有利なタイミングで多国間交渉を進めるしかない。それを逃したことについては、実は「交渉参加反対」と言った人に責任がある。




拙ブログでは、これに類する話題を過去に書いてきた。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/795caa8836cdc840e88a3f61ac25b278


事例1は、模倣品等で「混同される虞」という類似について、摘発対象とされる可能性について述べたものだ。
事例2は、データ独占権に伴うアクセス等の規制であり、ACTAを通じた知財規制強化についての危険性を例示したのである。



こうした論点は、以前から指摘されていたものである。

http://www.msf.or.jp/files/20120405_TPP_Issue_Brief.pdf


玉井せんせいが①で言う、85年に特許期間延長済み、というのは確かにそうだが、TPPの論点では誰もそんなことを問題とはしてないわけで。データ独占やアクセス制限、更には「エバーグリーニング」という方法を問題だと言ってるのを知らんのか、玉井さんとやらは。東大の大先生あたりだと、脱法ドラッグ問題とかは知らないし興味もないかもしれないが、非常に大雑把にまとめるとエバーグリーニングという手法は、まさしく脱法ドラッグと同じようなものだ、ということである。


本体(主たる効能)とは異なる別のものを追加することにより、事実上の特許期間延長を行う手法で、脱法ドラッグの構造式のごく一部を変更したり別のナントカ基(たとえば水酸基とかメチル基とか)を付加することで法規制を逃れる、という方法とよく似ているのだ。厚労省の通知で対応しているというのは、新たに付加された部分以外は「特許対象から外れる」ということにはなっているわけだが、それは法律ではないのでどうなるか判らない。解釈や運用で対応しているに過ぎない、ということだ。しかもTPP交渉妥結後には、どういう運用になるのか不明のままであることに変わりはない。


②は後回しにして、③のFTAを締結せずに済むはずない、という主張についてみることにする。
まず、明らかにウソを言っている。あたかも日本がTPP参加しないと「どこともFTAを締結しない」かのように言っている。例えばEUとの協議は開始されるという報道があった。また、ASEAN諸国では既に締結済み(シンガポールベトナム、マレーシア、ブルネイ)だし、チリ・メキシコ・ペルーも発効済み。作業中なのが、豪、加などである。
つまりTPP参加国のうち、米、豪、加、NZ以外とは既にFTAが存在する。締結せずに済むはずない、というのはTPP以前の話として明らかにおかしい。


さて、玉井式外交交渉理論によれば、②及び③から、

 ・有利なタイミングでTPP交渉に参加できたはず

なのに、

 ・反対派のせいで逃した、彼らに責任がある

反対さえなければ、

 ・カナダと組んで対抗できたのにそういう交渉余地を失わせた

と。それもこれも、みーんな「頑迷な反対派」のせいなんだ、と。

なるほど。
さすが、一般国民も国会議員も知り得ないような情報を、USTRの交渉担当官から聞くことのできる人間というのは、言うことが違いますな。


玉井式理論で「これが外交交渉なんだ」ということだとして、それはどの程度妥当(or適正、or正当?)なものなのだろうか?


結論から言えば、こういのを「結果論」というのでは。後付けの理屈で、こうすればこうだった、と。麻雀でも「あそこでこの牌を切らなければ、ここでこうなって、何巡目にはこうなっていたはずだ」とか、ぐちぐち言うのと似ている。
まあ結果からすれば、そうだったかもしれないが、それは事前に分かっていたことだったのか、という話である。


玉井式外交交渉では、反対派が余計なことさえしなければ、最高のタイミングで参加でき、カナダと共闘できたんだ、と。ここで疑問がある。玉井式理論だと、一体全体、いつが「最高のタイミング」だったのだろうか?
さっさとルール作りに参加しろ、ということならば、先日の共同声明でも出されていた「2011年11月のアウトライン」が出る前でなければならなかった、ということかな?オバマ大統領がAPEC議長の時がタイムリミットだったということか?


それは野田総理の表明では間に合わないものだった、ということだろう。つまり菅総理時代には参加すべし、ということか?菅時代に、TPPなんて殆ど国民は関心がなかったはずだし、所信表明演説とかで聞いても何のことだか知らなかっただろう。反対派がニュースになるような運動でもやっていたか?そんなことは全く覚えていないわけだが。となると、菅総理がオブザーバー参加していた時に、政府の専権事項として参加表明しておけばよかっただけ、ということではないか。


ところで、その当時にはカナダと共闘できたのか?
カナダは参加していましたかね?
むしろ逆だったんじゃないか?カナダは参加を拒否され、断られたのが、まさしく菅総理APEC議長をやる直前だったんですよね?
カナダは入りたいと表明していたのに、参加国から弾き出されただけであろう。その後に日本が入ることを表明して、正式参加できるのが3カ月後くらいだったとすると、日本とカナダの共闘は実現していたか?(笑)
無理でしょう。


カナダとメキシコの参加が認められたのは、12年11月くらいだったわけであるから、共闘するとしても、それ以降、ということになるわけだ。すると、玉井式理論によると、交渉参加の最高のタイミングとやらは、その頃だったということなのかな?
それだと、オバマ大統領が各国首脳と合意の声明を出した「アウトライン」には間に合っていないわけだ。大まかなルールは既に出来上がった後、ということではないか。玉井式では、それが「いちばん有利なタイミング」だった、と?(笑)


要するに、今になってから、あれこれと言っているだけであり、それは単なる思い付き程度のものでしかない、ということだ。最初から「こうすべき」ということがあったわけではないんだよ、玉井式外交交渉理論というのは。口から出まかせみたいに、ただ「カナダと共闘できた、それが多国間交渉だ」とか思いつきで言っているに過ぎない。


玉井さん、あなたに自身の言葉をそのまんま返してあげよう。
「どこまで不勉強なのって感じ」と。



ウソと出鱈目を言うのも、学者の仕事だと思っている人はいるのかもしれない。
そういう人は、無知な大衆など、俺さまにかかれば簡単に言い包められるぜ、とでも確信しているのかもしれない。